2026年9月に愛知・名古屋で開催されるアジア大会において、今年新たに正式競技として追加された「パデル」が注目を集めている。テニスとスカッシュを融合させたようなこの競技は、日本ではまだなじみが薄いが、名古屋・大須には7年前から県内唯一の専用コートが存在するという。平日の夕方、テニス経験のある記者2人が実際に体験し、その魅力を探った。
大須の屋上に広がるパデルコート
若者や観光客で賑わう大須商店街の一角、万松寺からほど近い3階建てビルの屋上に「パデル名古屋」はある。支配人の詰石竜太さん(37)の案内でコートに立つと、まず目に入るのはテニスコートよりやや狭い縦20メートル、横10メートルの空間を囲む強化ガラスと金網だ。
ラケットとボールの特徴
手にしたラケットはテニス用より柄が短く、打球面はガット(網)ではなく板状になっている。ボールはテニスボールよりやや軟らかいが、手触りや打ち返した感触はテニスボールに似ている。初めて見る用具に、記者たちは興味津々だ。
パデル独自の基本プレー「レボテ」に挑戦
軽く打ち合った後、詰石さんが「レボテをやってみましょう」と提案。レボテとは、ガラスに跳ね返った球を相手コートへ打ち返すパデルならではの基本プレーだ。記者がコート後方のガラス近くで待ち構え、ワンバウンドしてガラスに当たった球を相手コートに戻そうとするが、跳ね返りの距離や方向がつかめず空振りを連発。「前に打ち返そうとせず、後ろから来る球をラケットに乗せる感覚で」という詰石さんの指導で、徐々に緩いながらも相手コートに球が届くようになった。
ガラスを利用した戦略的なショット
続いて、後方のガラスに向けて球を打ち、リバウンドで相手コートに返すショットにも挑戦。相手に背中を向けてラケットを振る感覚は、テニスにはないパデル固有のものだ。詰石さんはさらに、2面のガラスに順に当てて相手コートに返す高度なショットも披露。跳ね返り方を計算し、最終的な狙いを定めるその様子は、まるでビリヤードのよう。「先を読んでプレーしなくてはいけないので、頭脳的なスポーツなんです」と詰石さんは語る。
パデル名古屋の魅力:気軽に楽しめる環境
2面あるコートの間にはバーベキューコンロが設置され、仲間でコートを借りて飲食を楽しみながら交代で汗を流す人も多いという。コートが金網とガラスで囲われているため、近くで見ていても球が当たる心配がないのも利点だ。受付には「私服スニーカーOK」「今すぐ遊べます」といった気軽な誘い文句が並び、初心者でも楽しめる雰囲気が漂う。
パデルの将来:アジア大会で普及なるか
パデルはアジア大会で男女ダブルスの2種目が実施予定。本場スペインでは競技人口がテニスを上回るというが、日本ではまだ発展途上のスポーツだ。関係者はアジア大会を機に普及が進むことを期待している。「きょうパデる?」という言葉が日常的に聞かれる日も、そう遠くないかもしれない。
パデルとは
金網と強化ガラスで囲まれたコートでネットを挟んでボールを打ち合うスポーツ。日本パデル協会によると、1970年ごろにメキシコで誕生し、アルゼンチンやスペインで発展した。世界の競技人口は3500万人、日本では6万人とされる。愛知・名古屋アジア大会では男女ダブルスの計2種目が行われる。



