吉田鋼太郎CM、愛知製鋼のブランドイメージ向上に貢献
俳優の吉田鋼太郎さんを起用した愛知製鋼の企業CMが、今春で放映開始から2年目を迎えた。5月の大型連休期間中には集中的に放送され、鉄鋼業界が抱える「3K(きつい、汚い、危険)」というネガティブなイメージの払拭に一役買っている。
このCMは、吉田さんが俳優役として出演し、愛知県出身の俳優・天野はなさんが扮する女性社員から同社の事業内容や将来性についてレクチャーを受けるという設定だ。同社の安藤和明執行職は「絶妙なコンビネーションで、インパクトのあるCMを打ち出せている」と自信を見せる。
昨年4月以降、家族で視聴されることを想定し、週末の動物番組や平日朝の情報番組などにCMを出稿。その結果、中部地方や九州などの放映地域で社名認知度が上昇した。さらに、横ばいだったインターンシップへの応募数は一気に倍増し、個人投資家も昨年3月から半年間で2倍に増加。CMの効果が大きく寄与したとみられている。
社内の一体感醸成にも効果
CM制作の背景には、対外的なアピールだけでなく、「社員の一体感を育み、同じ方向に進むための起爆剤にしたい」という安藤氏の願いがあった。幅広い部署の若手からベテランまでをチームに編成し、意見を募ることで全社的な関心を高めたという。
また、CM内で社名を表示する際、愛知製鋼の「鋼」の字に吉田さんの顔写真をあしらうというユニークな演出が話題に。一般的に「企業ブランディングでは社名を遮るのはNG」とされる中、社員が自分の顔写真に差し替えて自己紹介に使うなどの思わぬ反響も生まれている。
鉄鋼業界のCM戦略が加速
CM総合研究所(東京)の調査によると、在京キー局における鉄鋼業界からのCM出稿企業数と放送回数は増加傾向にある。2021年度は0社だったが、2025年度には8社に拡大し、年間放送回数は1500回を超えた。
背景には少子化による人材難があり、BtoB(企業間取引)が中心の企業でも、採用強化や認知度向上を狙ったCMが増えている。担当者は「CMなら学生の親や投資家など、より幅広い層に浸透できる」と分析する。
愛知製鋼は4月、将来性や環境性をアピールする新作CM2本を公開。大型連休のほか、夏休み期間や来年の正月など時期を絞って放映し、効果の最大化を狙う。
著名人を起用した企業CMは、比較的知名度の高いトヨタ自動車のグループ各社では珍しい。安藤氏は「目立たずとも、縁の下で社会を支える存在を知ってほしい。工場見学など現場を見てもらう活動と合わせて展開したい」と語った。
鉄鋼業界、著名人CMが続々
鉄鋼業界では近年、著名人が出演するテレビCMの放映が相次いでいる。
大同特殊鋼(名古屋市)は、2024年8月から人気ヒップホップアーティストのKREVAさんを起用し、先進医療や半導体などテーマごとに計6本を制作。夏のインターンシップを控えた5月などに放映し、応募数増加などの効果が出ているという。広報担当者は「素材メーカーは一般の人の目に触れづらい」とCMの意義を説く。
共英製鋼(大阪市)のCMには特撮ヒーロー「ウルトラマン」が登場し、難題に向き合う企業姿勢をPR。昨年創立90周年を迎え社名を変更したヨドコウ(同)は、俳優の木村拓哉さんを起用し、新社名の浸透を図っている。



