JR東海が在来線駅を起点に開催する「さわやかウオーキング」が、今年で35周年を迎えた。国鉄民営化から4年後の1991年、休日の鉄道利用促進を目的に駅員の発案で始まったこのイベントは、現在では年間200回を数える人気企画として各地に定着し、沿線活性化への期待も担っている。
参加者は年間約18万人、累計640万人
同社によると、1回あたりの参加者は800人から1000人ほどで、2025年度には延べ18万6000人が歩いた。1991年10月に関ケ原駅で初開催されて以来、累計参加者は延べ640万人に達する。参加者の中心は50代以上の中高年層で、「子育てが一段落し、夫婦で一緒に出かけるきっかけになった」という声も多い。
地域密着のコースが人気の秘訣
企画を担当する同社運輸営業部の沖健太担当課長は、人気の背景について「コース自体に魅力があるから」と語る。例えば、酒造りが盛んな木曽福島駅(長野県木曽町)周辺では、春の蔵開きに合わせて地酒を楽しめるコースを用意。その他にも地域の祭りや食文化、季節の草花を楽しめるなど、その土地ならではのコースにこだわっている。地域事情に詳しい駅長らが提案するケースも多いという。
地域活性化と鉄道利用の相乗効果
もともとは通勤・通学客が少ない土日祝日の在来線利用を増やす狙いで始まったが、人口減少時代に入り、「駅がある地域がにぎわい、そこに住む人々が列車を利用し続けてくれることが鉄道会社としても大切」と沖担当課長。同社は「地域の魅力を広めるツールとしていきたい」と相乗効果を見込んでいる。
名古屋駅開業140周年記念イベント
名古屋駅の開業140周年を記念し、同社は4月29日に駅近くのタワーズガーデンを発着点とする特別な「さわやかウオーキング」を開催する。コースは約6キロで、普段は入れない名古屋車両区の車庫や名古屋保線区を公開。線路点検用のキヤ95系(ドクター東海)や点検用ドローン、軌陸車などが展示される。参加は予約不要で無料、受付は午前8時30分から正午まで。
鉄道各社もウオーキングイベントを展開
鉄道沿線の名所や自然を巡るウオーキングは、手軽な運動として人気を集めており、JR各社だけでなく多くの私鉄も同様の企画を実施している。90年以上の歴史を持つ阪急電鉄の「阪急ハイキング」は、1934年から続く老舗イベントで、現在は京都・嵐山などで「街歩き」や「山歩き」を展開。中部地方でも名鉄と近鉄の合同企画など、同業他社間の連携も見られる。
笹川スポーツ財団の調査(2024年)によると、週1回以上の散歩・ウオーキング実施率(20歳以上)は2004年以降、30%台で推移。年代別では60歳以上が42.9%と最も高く、40~50歳代の30.7%、20~30歳代の24.9%を大きく上回っている。



