福岡三越が大規模改装を実施、百貨店売り場を縮小し若者向け専門店街を拡充へ
岩田屋三越は2月25日、福岡市・天神地区で運営する百貨店「福岡三越」において、百貨店業態の売り場を大幅に縮小する方針を明らかにしました。代わりに、雑貨店などが入居する若者向けの専門店街「ラシック」を拡充する計画で、改装は今春から順次進められ、2027年秋に刷新オープンを予定しています。この動きは、同じ天神地区で老舗百貨店の岩田屋本店も運営する同社が、両店舗のすみ分けを図り、新たな顧客層の開拓を目指す戦略の一環です。
改装の詳細とラシックの拡大計画
福岡三越は、賃貸で入居する地下2階から地上9階までのビル(店舗面積約3万8000平方メートル)を有しています。現在、地下1階と9階の一部で営業しているラシックを、5階から9階までの5フロアに拡大する予定です。一方、百貨店業態の売り場は地下2階から4階に集約され、縮小されます。改装費用は公表されていませんが、開業以来最大規模の投資となる見込みです。
ラシックは、岩田屋三越の親会社である三越伊勢丹ホールディングスが展開する専門店街ブランドで、百貨店に比べて手頃な価格帯の雑貨や衣料品を扱うテナントが集まっています。天神地区のラシックは2014年に地下1階で開業し、2023年には9階にも拡張され、100円ショップ「ダイソー」が営業を開始しています。
福岡三越の歴史と競争環境の変化
福岡三越は1997年、三越が九州初の拠点として開業しました。地場百貨店の岩田屋とは当初ライバル関係にありましたが、2000年代に入ると大型郊外店との競合が激化し、百貨店業界全体の環境が厳しさを増しました。岩田屋は2005年に大手の伊勢丹傘下に入り、その後、伊勢丹と三越が2008年に経営統合して三越伊勢丹ホールディングスが誕生。2010年には同ホールディングス傘下で福岡三越と岩田屋が統合し、岩田屋三越が発足しました。
岩田屋三越の2025年3月期の総額売上高は1329億円で、うち岩田屋本店が900億円超を占めており、福岡三越は苦戦を強いられています。特に中層階の衣料品フロアでは集客力に課題があり、担当者は「今回の改装は福岡三越の独自性を出す意味が大きい」と述べています。
天神地区の競争激化と商業施設の動向
岩田屋本店、福岡三越、大丸福岡天神店の3百貨店が軒を連ねる天神地区では、昨年4月に高級ブランド・シャネルの大型店などが入居する複合ビル「ワン・フクオカ・ビルディング(ワンビル)」が開業し、競争が一層激化しています。一方で、2027年には若者に人気の福岡パルコが再開発のために閉店することを明らかにするなど、商業施設を取り巻く環境は大きく変化しています。
岩田屋三越は、改装後のフロア構成の詳細を今後発表していく予定です。福岡三越については「世界の一流と日本の文化を体験できる場の創出」を掲げる一方、ラシックでは「若い世代やこだわり消費を求める国内外の買い物客が集まる場を創造する」としています。この戦略により、天神地区での競争優位性を高め、新たな顧客層の獲得を目指す姿勢が鮮明になっています。



