自販機大国の苦境、撤退・撤去が相次ぐ
かつて街角のいたる所に設置されていた自動販売機が減少を続けている。世界有数の「自販機大国」とも称される日本だが、物価高騰の影響でスーパーなどに比べて割高な価格設定が消費者離れを招いている。飲料メーカー各社は不振に苦しみ、自販機ビジネスからの撤退や規模縮小を余儀なくされている状況だ。
飲料メーカーの事業再編が進む
ポッカサッポロフード&ビバレッジ(名古屋市)は2026年3月、自販機事業の売却を正式に発表した。清涼飲料を手がけるライフドリンクカンパニー(大阪市)に同年10月までに約4万台を譲渡する計画である。同社の佐藤雅志社長は取材に対し、「経営資源をより効果的に配分するため、選択と集中を図りたい」と述べ、レモン飲料やお茶、炭酸水など特定分野への注力を明らかにした。
同様の動きは他のメーカーにも広がっている。ダイドーグループホールディングス(大阪市)は全国に設置する27万台の自販機のうち、採算の取れない約2万台を2027年1月までに撤去する方針を表明。「台数削減で出血を止めることが最優先」との見解を示した。
巨額の減損損失が事業環境の厳しさを物語る
大手飲料メーカーも自販機事業の見直しを迫られている。コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスは2025年12月期決算で、主に自販機事業に関連する904億円の減損損失を計上した。伊藤園も2025年5月から2026年1月期の決算で137億円の減損損失を計上し、今後は子会社への事業移管を進める方針だ。
これらの背景には、以下のような複合的な要因が存在する。
- 原材料高騰に伴う値上げが消費者離れを加速
- 節約志向の高まりで需要が伸び悩み
- 機器維持コストの増大と人手不足の深刻化
自販機稼働台数の減少傾向
清涼飲料水の自動販売機稼働台数は右肩下がりの傾向が続いており、2020年以降は特に減少幅が拡大している。従来のビジネスモデルが見直しを迫られる中、各社は新たな戦略の模索を始めている。
無人販売の未来を探る
従来の飲料自販機に代わり、無人販売の利点を最大限に生かす商品やサービスが求められている。高齢化が進む地域での生活必需品の提供や、観光地での特産品販売など、新たな活用方法が検討されている。また、デジタル技術を活用したスマート自販機の導入も進みつつあり、消費者の購買データを分析した商品展開が可能となっている。
自販機大国と呼ばれた日本は、現在大きな転換期を迎えている。従来のビジネスモデルからの脱却と、無人販売の特性を生かした新たな価値創造が、今後の鍵となるだろう。



