アシックスは10日、ファッションブランド「オニツカタイガー」を手がける事業部門を2027年1月に分社化すると発表した。スポーツ用品を扱うアシックス本体と経営を切り離すことで、意思決定の迅速化を図るとともに、高級ブランドとしての路線を明確にし、成長を加速させる狙いだ。
分社化の詳細と経営体制
オニツカタイガー事業は、これまで社内カンパニーの位置づけだったが、今年2月に設立した完全子会社「OTグループ」(東京)に移す。研究開発や知的財産の管理は引き続きアシックスが担う。人員は2800人体制とし、社長にはオニツカタイガー事業を担当する庄田良二副社長執行役員が就く。会長は広田康人会長CEO(最高経営責任者)が務める。
この日、東京都内で記者会見した広田氏は「単なる組織再編ではなく、アシックス全体の企業価値の向上につなげる重要な経営判断だ。独立した経営体制で世界に通用する『ラグジュアリーライフスタイルブランド』としての飛躍を期待する」と強調した。
ブランドの歴史と現状
オニツカタイガーのブランド名は、アシックス創業者の鬼塚喜八郎氏に由来する。1977年に商品展開を休止したが、2002年に、シューズだけでなく、アパレルやアクセサリーも扱うファッションブランドとして復活した。現在は日本や中国、欧州、東南アジアなど世界約160カ国・地域に展開し、直営店は約190に上る。2025年12月期の事業売上高は前期比43%増の1365億円で、収益の柱の一つとなっており、中長期的には2000億円を目指す。
新店舗計画と競争環境
この日は、国内外に6店舗を出店する計画も公表した。今年7月に東京・新宿に世界最大の旗艦店をオープンする。海外では中国・上海やイタリア・ミラノのほか、2027年2月に米国に再進出し、ロサンゼルスに大型店を開業する方針だ。
ファッションのカジュアル化が進む中、スポーツシューズ市場の競争は激化している。米ナイキを中心とする大手に加え、スイスの「On(オン)」やフランス発祥の「HOKA(ホカ)」といった新興勢力が日本への出店を加速させている。矢野経済研究所によると、2026年度の国内市場規模は7320億円となり、2020年度から1.3倍に拡大する見込みだ。
庄田氏は会見で、「アシックスがスポーツ、オニツカタイガーがファッションとして創業の志を受け継ぐ。分社化でブランドとしての価値を高めることに集中したい」と意気込みを語った。



