都市部を中心に、有料で荷物を保管するトランクルームの需要が高まっている。家族が増えて手狭になっても、より広い物件は家賃が高くて手が出ない――。そんな人たちが利用しているという。
ゴルフバッグ、思い出の詰まったスーツ…
川崎市多摩区にあるトランクルーム「スペラボ京王稲田堤店」。駅の目の前にあるビルの地下1フロアに、0.3~4.5畳の「部屋」やロッカー型収納が計65区画並ぶ。暗証番号で解錠する仕組みで、利用料金は月額1900円から4万9900円。
会社経営の山本信二さん(31)は、1畳の部屋を月1万円ほどで契約している。中には、あまり使わないゴルフバッグ、着る予定はないが思い出の詰まったスーツ、子どもあてにもらった小型のトランポリンなど……。
このビルから車で数分のマンションの一室に、妻子と住む。約60平方メートルの2LDK。2人目の子どもが生まれてから手狭に感じるようになった。
「子どもが工作で作った作品は捨てられないし、3人目を考えるとベビーベッドや服も捨てられない」
引っ越せないか、近くの新築マンションの家賃を調べた。今と同じような間取りでさえ、家賃が8万円ほど上がり、現実的ではなかった。「月1万円で部屋がすっきりするなら安いもの」と話す。
同様に、物品の置き場所に困ってトランクルームを使う人は多い
山本さんが使うトランクルームを運営する「UKコーポレーション」(東京)が2025年12月、利用者698人に行ったアンケートによると、約7割が利用目的に「自宅の収納不足を解消するため」と答えた。
都市部で上がる家賃 市場規模は3倍に
「都心を中心に利用が拡大している」と話すのは、収納スペース賃貸会社「キュラーズ」(東京)の担当者。キュラーズの調査では、国内のトランクルーム市場規模(屋外のコンテナ型含む)は08年に272億円だったが、25年には907億円まで伸びた。
市場拡大の背景には、広い部屋に移りたいが物件が少なく、しかも高額、という住宅事情がありそうだ。
不動産調査会社「東京カンテイ」(東京)によると、首都圏のマンションの1平方メートルあたりの賃料は、08年時点で2578円だったが、18年ごろから上昇が始まり、25年には3803円になった。同じ期間に、近畿圏は1649円から2276円、中部圏は1618円から2041円に上昇した。
面積も狭くなりつつある。首都圏の新築マンションの平均専有面積は、2000年代には70平方メートルを超えていたが、近年は60平方メートル台に減少している。限られた予算で都心に住むには、狭い部屋を選ぶか、収納を外部に頼るかの選択を迫られている。
さらに、トランクルームは投資対象としても注目されている。運営会社が物件を買い取り、区画ごとに貸し出すビジネスモデルが確立し、安定した収益が見込めるとして、個人投資家の間でも人気が高まっている。
「思い出の品を捨てられない」「でも広い家には住めない」。そんな現代のジレンマを解決する場として、トランクルームは今後も需要を伸ばしそうだ。



