タワマンは被災後も使える?識者が指摘する東京の弱点と耐震基準の真実
タワマン被災後も使える?識者が指摘する東京の弱点

政府は12日、首都直下地震に対する新たな減災目標を盛り込んだ基本計画を公表した。最悪で1万8千人と想定される死者数を「半減以上」に抑える目標を掲げ、国民一人ひとりの防災意識向上を呼びかけている。しかし、地震工学の専門家である名古屋大学名誉教授の福和伸夫氏は、東京が抱える構造的な「弱点」を指摘し、基本計画の受け止め方や住民の心構えについて警鐘を鳴らす。

東京のビジネスモデルが災害リスクを増大

福和氏は「東京など首都圏の人々には、今の東京のあり方を見つめ直す機会にしてほしい」と語る。その上で、東京が地方から人を集め、危険な軟弱地盤に都市を拡張し、浸水や液状化のリスクが高い地域にタワーマンションや高層ビルを建設している現状を問題視する。

「たとえ危険な場所でも開発を進め、不動産価値を上げて利益を得るというビジネスモデルが、災害リスクを高めている」と福和氏は強調する。過去の地震でも、日比谷の入り江を埋め立てた大手町や丸の内、有楽町、さらには横浜の関内エリアなどが大きな被害を受けてきた歴史を指摘する。

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耐震基準は「最低限」、機能維持は不透明

新築の建物は建築基準法に基づく耐震基準を満たしているとの声に対して、福和氏は「建築基準法第1条には、建築物に関する『最低の基準』を定めた法律だと明記されている。法律が定める耐震基準は、『1回の地震で命を守る』水準に過ぎない」と反論する。

「建物が傾いたり沈んだりするリスクはあり、機能が維持できる保証はない。エレベーターの閉じ込めも深刻なリスクだ」と警鐘を鳴らす。政府の計画では在宅避難の促進や帰宅困難者の一時滞在施設の確保がうたわれているが、福和氏は「地震後でも本当に在宅避難を続けられ、帰宅困難者を受け入れられる耐震設計になっているのかが問題。政府が計画を定めたなら、在宅避難が可能な耐震基準のあり方についても議論が必要だ」と訴える。

東京は「ゆとり」が乏しい

福和氏はさらに、東京の弱点として「あらゆるものを外に頼っている」点を挙げる。エネルギーの多くを地方の原子力発電所や火力発電所に依存し、食料も他地域からの輸送に頼る。災害時に供給が途絶えれば、都市機能は麻痺する。また、密集した市街地や高層ビル群は、避難や救援活動の妨げとなる可能性が高い。

「東京は災害をしのぐ『ゆとり』が乏しい。基本計画を機に、都市の脆弱性を直視し、住民一人ひとりが備えを強化する必要がある」と福和氏は結論づける。

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