東京都世田谷区の東京農業大学でスギ花粉の飛散防止を研究する小塩海平教授(59)が、人体への影響が少ない食品添加物の薬剤を空中散布し、雄花を枯らす技術の実用化を目指している。この技術を農薬として登録するための試験費用として、6600万円を目標にクラウドファンディング(CF)を実施中で、支援の募集は30日までとなっている。
薬剤の仕組みと効果
使用される薬剤は、パンやチョコレートなどの製造時に使われるソルビタントリオレートという非イオン系界面活性剤だ。この薬剤はスギの雄花だけに作用して枯らす効果があり、花粉の飛散を効果的に抑制できるという。
これまでの実験と今後の計画
小塩教授は林野庁の補助を受けて、2022年度から25年度にかけて群馬、栃木、静岡、三重県などでヘリコプターによる空中散布実験を実施した。26年度以降は補助が打ち切られるが、薬剤を農薬として正式に登録するには追加の安全性試験が必要なため、CFで自ら資金を集めることにした。
他の対策との比較
スギ花粉の飛散を抑える方法としては、伐採や無花粉スギへの転換も考えられる。しかし、全国のスギ人工林は約440万ヘクタールに及び、1ヘクタールあたり約千本が植えられているため、伐採や転換には長い時間がかかる。さらに、1ヘクタール当たり約1千万円のコストがかかることから、小塩教授は「雄花を枯らす方が現実的」と指摘する。
支援金の使途と実用化の見通し
支援金の具体的な使途は、空中散布4回分の1800万円、花粉飛散防止剤の原料費200万円、農薬登録のための安全性試験に4000万円、人件費600万円となっている。順調に進めば、2029年秋には実用化が可能になると見込まれている。
問い合わせは小塩教授の研究室(電03-5477-2736)まで。支援の詳細や申し込みは専用サイトで受け付けている。



