政府、石油国家備蓄の放出を開始 ホルムズ海峡封鎖で中東原油供給懸念
石油国家備蓄放出開始 中東原油供給懸念で

政府が石油国家備蓄の放出を開始 中東情勢緊迫化で供給安定化図る

政府は3月26日、石油の「国家備蓄」の放出を正式に開始した。全国に設置されている11カ所の国家石油備蓄基地から順次、国内の石油消費量の約1カ月分に相当する約5300万バレルを、主要な石油元売り4社の製油所に対して供給する方針だ。この措置は、先月16日に実施された「民間備蓄」の放出(約15日分、2700万バレル)に続くもので、ホルムズ海峡の事実上の封鎖によって中東地域からの原油供給が減少する懸念に対応することを目的としている。

菊間基地から太陽石油へパイプラインで供給開始

26日午前11時頃、愛媛県今治市に位置する菊間国家石油備蓄基地において、隣接する太陽石油の製油所に対して、パイプラインを通じた備蓄原油の供給が開始された。政府関係者によれば、27日以降は北海道、千葉県、鹿児島県など他の備蓄基地からも順次、タンカーなどを活用した原油の輸送作業が始まる見込みである。

売却先となるのはENEOS、出光興産、コスモ石油、太陽石油の石油元売り4社であり、政府は3月19日にこれらの企業と随意契約を締結した。契約総額は約5400億円に上り、国家備蓄の放出は2022年のロシアによるウクライナ侵攻時の対応以来、実に4年ぶり2回目の実施となる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

ホルムズ海峡封鎖が背景 エネルギー安全保障強化へ

今回の国家備蓄放出の背景には、中東地域における地政学的リスクの高まりが大きく影響している。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝として知られており、この海峡の封鎖や通行制限が現実化すれば、日本を含む多くの国々の中東依存度の高い原油供給網に重大な影響を及ぼす可能性がある。

経済産業省の担当者は「エネルギー安全保障の観点から、供給途絶リスクに備えた迅速な対応が不可欠である」と説明。国家備蓄の放出により、国内の石油製品の安定供給を確保し、ガソリン価格などのエネルギーコストへの急激な上昇圧力を緩和する効果が期待されている。

今回の措置は、単なる一時的な供給調整ではなく、中長期的なエネルギー政策の一環として位置付けられている。政府は今後も国際情勢の変化を注視しながら、必要に応じて追加的な備蓄放出や代替エネルギー源の確保など、多角的な対策を講じていく方針を示している。

エネルギー専門家は「国家備蓄の放出は、供給不安が生じた際の重要な緩衝材として機能する」と評価する一方で、「根本的な解決策としては、供給源の多様化や再生可能エネルギーへの移行加速が求められる」と指摘している。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ