古川聡宇宙飛行士がJAXA退職へ 医師の知見をISS滞在に生かし2026年3月に第一線離れる
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月25日、古川聡宇宙飛行士(61)が2026年3月31日付で同機構を退職することを発表した。国際宇宙ステーション(ISS)で2度の長期滞在を経験し、研究としての宇宙医学と有人探査の現場をつないだ存在が第一線を離れることになる。
医師から宇宙飛行士への道のり
古川さんは1964年に横浜市で生まれ、東京大学医学部を卒業後、麻酔科・外科で診療や研究に携わった。1999年、ISS搭乗を担う宇宙飛行士候補に決定し、2001年に宇宙飛行士として正式に認定された。医師としての豊富な知見を宇宙開発の分野に活かす稀有なキャリアを築いてきた。
宇宙飛行士への挑戦について、古川さんは幼い頃から「ウルトラセブン」への憧れを抱き、宇宙飛行士募集をテレビで見て「これこそ自分が本当にやりたかったことだ」と直感し、決断したと語っている。この情熱が、その後の活躍の原動力となった。
2度のISS長期滞在と功績
初飛行は2011年に実施され、ISS長期滞在クルーのフライトエンジニアとして165日間滞在した。日本実験棟「きぼう」での実験やISSの維持管理を担当し、宇宙環境における人間の適応力について貴重なデータを収集した。
2度目の飛行は、2023年8月から2024年3月にかけて約6カ月半にわたり実施された。微小重力を生かした実験に加え、有人月探査やその先を見すえた技術実証にも取り組み、宇宙医学研究を推進した。2度の宇宙滞在時間は合計で366日8時間34分に達し、日本の宇宙開発史に大きな足跡を残した。
退職後のJAXAの体制
古川さんの退職により、JAXAに在籍する宇宙飛行士は6人となり、引退した飛行士は古川さんを含めて7人となる。この変化は、日本の有人宇宙活動の新たな段階を示すものとして注目されている。
古川さんは30日に引退会見を開き、今後の活動や宇宙開発への思いを語る予定だ。医師としての専門性を宇宙医学に結びつけ、有人探査の現場で実践してきた経験は、今後の宇宙開発においても貴重な財産となるだろう。



