カイロス3号機打ち上げ失敗 社長「失敗ではない」と主張も専門家は進歩に疑問符
カイロス3号機打ち上げ失敗 社長「失敗ではない」と主張 (05.03.2026)

カイロス3号機、打ち上げ68.8秒後に自動爆発 安全システムの異常が原因か

2026年3月5日午前11時10分、和歌山県串本町の発射場から打ち上げられた小型ロケット「カイロス」3号機は、わずか68.8秒後に飛行中断措置によって自動的に爆発した。これは民間企業として初めて人工衛星の軌道投入を目指すスペースワンにとって、3度目の打ち上げ失敗となった。

「私たちの文化に失敗は存在しない」豊田社長の前向きな姿勢

同日午後に開かれた会見で、スペースワンの豊田正和社長は「私たちの文化に失敗は存在しない」と強く述べ、今回の事態を前進の一環として捉えていることを明らかにした。豊田社長は「新しい問題が出てきたとすると、それを越えることがチャレンジであり経験であり、重要な糧となる」と語り、2030年代初頭に年30件という打ち上げ目標を変更するつもりはないと強調した。

「非常にきれいに飛んでいた」関野副社長が悔やむ

関野展弘副社長は会見で、打ち上げ時の条件について「天候に恵まれ、風も非常に良い状態で、飛行経路の逸脱や機体の異常を検知したということはない」と説明。「非常にきれいに飛んでいた。一言でいって残念」と悔しさをにじませた。

安全システムの異常が爆発の原因か

ではなぜ爆発に至ったのか。関野副社長は、自動的に飛行中断を判断する安全システムに異常が起きた可能性を指摘した。このシステムは2系統あり、両方が正常でないと飛行を中断する仕組みになっている。1系統の異常を感知したもう片方の1系統によって飛行中断措置がとられたのではないかという見方を示した。

「飛行中断の判断に関しては、正しく作動していた」と関野副社長は述べる一方で、現時点ではどんな異常があったかはわからないと説明した。

カイロスシリーズ、3機連続の自動爆発

カイロスは初号機と2号機も打ち上げ後、システムの判断により自動的に爆発している。2号機は1段目の固定燃料が燃焼中の80秒後に、燃焼ガスを噴出するノズルの駆動制御に異常が発生。2段目のエンジンには点火したが、飛行経路がずれ、3分7秒後に破壊された。

今回の3号機は、2号機の実績より手前の段階で異常が起きたことになる。それでも豊田社長は「前に進んでいる」と繰り返し強調した。

専門家「進歩は限定的か」との見方も

一方、宇宙開発の専門家からは、3度連続の失敗について進歩が限定的ではないかとの指摘も出ている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者は「目に見えない異常が突如起きた可能性がある」と分析。安全システムの設計や信頼性について、さらなる検証が必要との見解を示している。

民間宇宙開発が活発化する中、安全と信頼性を両立させる技術的課題が浮き彫りになった形だ。スペースワンは今後、詳細な原因調査を進めるとともに、4号機以降の打ち上げ計画を見直す可能性もあるとしている。