浜松発SUiCTE、人工衛星カメラの小型・低価格化で宇宙産業に挑戦 2026年販売開始へ
浜松発SUiCTE、人工衛星カメラの小型化で宇宙産業に挑戦

浜松発の新興企業が宇宙用カメラ部品で革新 小型・低価格化で世界市場に挑む

静岡大学発の新興企業「SUiCTE(スイクト)」(浜松市)が、人工衛星に搭載するカメラ部品「イメージセンサー」の開発を加速させている。この技術が実用化されれば、地上の衛星写真がリアルタイムの動画として視聴可能になる可能性があり、現在は海外製がほぼ独占する市場への突破口として大きな期待が寄せられている。同社の赤堀知行社長(46)は「浜松から世界、そして宇宙へ」をスローガンに掲げ、2026年を目標に販売開始を視野に入れている。

イメージセンサーとは何か

イメージセンサーは、光を電気信号に変換する半導体部品であり、カメラやスマートフォン、自動運転車などの核心を担う。宇宙用途では、気象衛星が雲の動きを捉える際や、観測衛星が「グーグルアース」のような衛星写真を撮影する際に不可欠な存在だ。この技術の進歩が、宇宙産業全体の革新を後押ししている。

人工衛星市場の大転換期と小型化の潮流

赤堀社長によれば、宇宙用センサーを巡る人工衛星市場は現在、「大転換期を迎えている」という。2000年代までは、国家主導による大型衛星の打ち上げが主流で、地球から3万キロ以上離れた静止軌道に位置し、1機あたりの費用が膨大だったため、センサーが大きく高価でも問題視されなかった。

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しかし近年、用途の多様化に伴い、地球から約1000キロの近距離を周回する観測用などの安価な小型衛星が急増。民間企業が主導権を握り、経済産業省のデータでは、2021年に打ち上げられた人工衛星の数は2011年比で14倍に拡大した。現在は数千機が地球を周回しており、世界的な開発競争が激化している。

この小型化の流れの中で、センサーにも「安価で10分の1のサイズ」が求められるようになった。だが、宇宙用センサー市場は米国企業が世界シェアをほぼ独占しており、日本からの発注では納期が1年以上、費用も1億円超と高コストで、性能面での課題も残っていた。

SUiCTEの強みと技術的背景

SUiCTEの会長を務める川人祥二・静岡大学特任教授は、光を電気信号に高速変換し、少ない光量でも高画質撮影を可能にする先進技術の持ち主だ。宇宙空間特有の放射線影響や急激な温度変化への対策知見も豊富で、赤堀社長は「川人特任教授の研究は、宇宙産業でも十分に活用できる」と判断し、創業に至った。

同社の強みは、少数精鋭の新興企業ならではの迅速な意思決定と、人件費などのコスト抑制にある。赤堀社長は自信を持って語る。「当社のセンサーは半年での納品が可能で、米国企業と比較して費用は半額程度、サイズも半分に小型化できる」と。

今後の展望と実用化への道筋

来年には地上でのセンサー実証実験を実施し、2029年までにセンサーを搭載した「ノートパソコンサイズの超小型人工衛星」の打ち上げを計画している。2030年の販売開始を目標に、開発を急ピッチで進める。

実用化が実現すれば、「宇宙から撮影した道路を車が走る様子を、スマートフォンでリアルタイムに視聴できる未来」が訪れるかもしれない。災害時の被害状況把握や安全保障への応用など、活用範囲は広がりを見せている。

赤堀社長は意気込みを語る。「『下町ロケット』のような物語ではありませんが、人工衛星の主要部品を浜松で製造している企業があることを、多くの方に知っていただきたい」。浜松発の技術革新が、宇宙産業の新たな潮流を生み出す日が近づいている。

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