難治性血液がんATL再発予防ワクチン開発、九州がんセンターなどが治験継続へCFで支援募る
ATL再発予防ワクチン開発、治験継続へCFで支援募る

難治性血液がんATLの再発予防ワクチン開発、実用化へ治験継続中

国立病院機構九州がんセンター(福岡市)を中心とする研究チームが、難治性の血液がんである成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の再発予防を目的とした画期的なワクチンを開発した。このワクチンは、寛解した患者に特殊な細胞を投与することで、免疫システムを活性化し、がん細胞だけを選択的に破壊する仕組みを採用している。数年以内の実用化を目指しており、現在進行中の治験を継続するため、クラウドファンディング(CF)を通じて資金支援を広く呼びかけている。

ATLの深刻な現状とワクチンの必要性

ATLは、国内に推定100万人前後の感染者がいるとされるヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染者のうち、約5%が発症する難治性のがんである。感染した細胞ががん化して増殖することで、年間約1000人が命を落としており、その深刻さが浮き彫りになっている。従来の治療法としては抗がん剤を用いた化学療法などが主流だが、多くの患者が1年以内に再発を経験しており、新たな予防策が強く求められていた。

ワクチンの仕組みと開発の経緯

研究チームは、ATLでがん化した細胞の表面に現れるたんぱく質「Tax」に着目。このTaxは正常な細胞には存在せず、がん細胞を識別する目印として機能すると考えられた。開発されたワクチンは、Taxに似た分子を人工的に合成し、患者の血液から培養した免疫細胞の一種である樹状細胞に付着させて注射で投与する。樹状細胞は「免疫の司令塔」とも呼ばれ、リンパ球に異物の目印を示して免疫を活性化させる役割を担う。この仕組みにより、リンパ球がTaxを標的として認識し、がん細胞を「狙い撃ち」して破壊することが可能となる。

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研究は約20年前から国の支援を受けて進められ、2021年に開始された最終段階の治験では、計34人の患者を対象としている。九州がんセンターや東京大学医科学研究所付属病院(東京都)、長崎大学病院(長崎市)などで実施され、すでに27人が参加したが、ワクチンの製造費用は1人あたり数百万円に上り、資金不足が課題となっている。このため、クラウドファンディングで資金を調達することを決定した。

安全性と効果、今後の展望

初期段階の臨床研究では、ワクチンを投与した患者9人において重篤な副作用は確認されておらず、安全性が示されている。さらに、十数年にわたって寛解を維持できたケースも報告されており、長期にわたる効果が期待できる可能性が高い。チームを率いる九州がんセンター血液・細胞治療科の末広陽子部長は、「がんにかかっても患者が元気で過ごし、人生を楽しめるよう、治療の選択肢として確立したい」と意気込みを語っている。

クラウドファンディングは2月に開始され、最初の目標額である500万円を突破。次の目標として1000万円を設定し、3月末まで専用サイトで受け付けている。また、チームは治験への参加を希望する患者も募集しており、詳細な問い合わせは九州がんセンター(092-541-3231)までとなっている。この取り組みが成功すれば、ATL患者の再発予防に新たな光が差すことになるだろう。

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