欧州中央銀行(ECB)は11日の理事会で、政策金利を0.25%幅引き上げることを決定した。利上げは2023年9月以来、実に2年9カ月ぶりの実施となる。中東情勢の緊迫化が原油や天然ガスなどのエネルギー価格を急騰させ、ユーロ圏のインフレリスクが顕著に高まっていることに対応する措置だ。今年2月に中東危機が深刻化して以降、日米欧の主要な中央銀行が利上げを決めるのはこれが初めてである。
政策金利の詳細
ECBは、民間銀行が預金する際の金利を年2.00%から2.25%に引き上げるなど、すべての政策金利を一律に0.25%幅引き上げた。これにより、主要政策金利である預金ファシリティ金利は2.25%、主要リファイナンスオペ金利は2.65%、限界貸出ファシリティ金利は2.90%となる。
インフレ加速と市場の反応
欧州連合(EU)統計局の発表によると、5月のユーロ圏の消費者物価上昇率(速報値)は前年同月比3.2%となり、4月の3.0%から加速した。ECB幹部からは利上げに前向きな発言が相次いでおり、市場では利上げ確率が9割を超えると見込まれていた。今回の決定は、インフレ抑制に向けた積極的な姿勢を示すものだ。
「対応の遅れ」リスクへの警戒
ECBは、足元の物価上昇の主因がエネルギー価格にあると分析している。中東危機が長期化すれば、エネルギーコストの上昇が他の部門にも波及し、二次的効果として賃金やサービス価格の上昇を招く恐れがある。ECBは、インフレ期待の上昇を防ぐため、迅速な対応が必要と判断した。一部の理事からは、利上げが遅れた場合のリスクを指摘する声も上がっていた。
今回の利上げにより、ユーロ圏の金融引き締めが一段と進むことになる。ECBは今後の経済指標を注視しながら、追加利上げの可能性も排除しない方針だ。



