トランプ米前大統領は31日、人工知能(AI)の国家安全保障上のリスクと機会を評価するための「AI国家安全保障委員会」の設置を盛り込んだ大統領令に署名した。同委員会は、AI技術が軍事や情報活動などに与える影響を分析し、政府の対応策を提言することを目的としている。
委員会の構成と任務
委員会は、国防総省や国土安全保障省、国家情報長官室などの政府高官と、民間の専門家で構成される。委員長には、元国防長官のマーク・エスパー氏が指名された。委員会は180日以内に中間報告書を、360日以内に最終報告書を大統領に提出する義務を負う。
AIの軍事利用と倫理
近年、AI技術の急速な進歩に伴い、自律型兵器システムなど軍事利用の拡大が懸念されている。委員会では、AIの軍事利用に関する倫理的なガイドラインの策定も議論される見通しだ。トランプ氏は声明で「AIは我が国の安全保障に革命をもたらす可能性があるが、同時に新たな脅威も生み出す。この委員会は、アメリカがAI時代においても優位性を維持するために不可欠だ」と述べた。
批判的な声も
一方、人権団体からは「AIの軍事利用を促進するだけだ」との批判も出ている。また、民主党からは「委員会の構成が政権寄りで、独立した評価ができない」との懸念も表明されている。
AI技術は、サイバー攻撃の検出や情報分析など、安全保障の分野で既に活用されている。しかし、AIが誤った判断を下した場合の責任の所在や、プライバシー侵害のリスクなど、解決すべき課題は多い。委員会の提言が今後のAI政策にどのような影響を与えるか、注目される。



