大手ゼネコンの清水建設は、人工知能(AI)を活用して建設現場の危険を予知し、労働災害を未然に防ぐ新たなシステムを実用化したと発表した。このシステムは、現場に設置された複数のカメラ映像をAIがリアルタイムで解析し、作業員の行動パターンや動線から異常を検知。過去の事故データと照らし合わせ、危険が予測される場合には現場責任者に警告を発する。
システムの概要と特徴
新システムの名称は「AI安全監視システム」。現場の天井や柱などに設置されたカメラが捉えた映像を、深層学習を用いたAIが解析する。作業員の動き方や作業エリアへの滞在時間、ヘルメットや安全帯の着用状態などを常時監視。例えば、高所作業中に安全帯を外した場合や、重機の近くで作業員が長時間滞留した場合などに、即座にアラートが発せられる。
さらに、システムは過去の事故データベースと連携し、類似した状況が発生した場合には、事故発生リスクを数値で表示。現場監督はスマートフォンやタブレットでリアルタイムに状況を把握でき、迅速な対応が可能となる。
実証実験の結果
清水建設は、首都圏の複数の建設現場で約1年間にわたり実証実験を実施。その結果、システム導入前と比較して、注意喚起が必要な危険行動が約40%減少したという。特に、高所作業での安全帯未着用や、重機との接触リスクが高い状況の早期発見に効果を発揮した。
同社の担当者は「AIによる自動監視により、人間の目だけでは見落としがちな危険を事前に察知できる。現場の安全文化の向上にもつながる」と話している。
今後の展開
清水建設は、2026年度中に自社の主要な建設現場に本システムを順次導入する計画だ。将来的には、システムで蓄積したデータを活用し、より精度の高い危険予測モデルの開発を目指す。また、他社への販売も視野に入れており、建設業界全体の労働災害撲滅に貢献したいとしている。
建設業界では、熟練作業員の減少や高齢化に伴い、安全確保が喫緊の課題となっている。AI技術の活用は、人手不足を補いながら安全性を高める有効な手段として期待されている。



