エプスタイン事件の余波が英国政治を揺るがす
米国の実業家ジェフリー・エプスタイン氏を巡る人身取引事件が、英国に大きな波紋を広げています。スターマー首相が、エプスタイン氏との交友関係を知りながら、与党労働党の重鎮ピーター・マンデルソン氏を駐米大使に任命したことが批判を浴び、首相の退陣を求める声が高まっています。
首相の謝罪と党内の動揺
スターマー首相は先日、労働党の全議員を対象とした非公開会合で、「私はこの国を変えるために国民の負託を受けた。逃げ出すつもりはない」と主張しました。同時に、マンデルソン氏の駐米大使登用が誤りだったと改めて謝罪し、政権運営への協力を繰り返し求めました。
しかし、会合では一定の支持が得られたものの、「まだ危機を脱したわけではない」との見方が大勢を占めています。実際、会合に先立ち、労働党の幹部であるスコットランド労働党のアナ・サワール党首が記者会見を開き、「首相の政権運営は過ちが多すぎる。リーダーの交代が必要だ」と明言しました。これにより、与党内からも辞任論が出始めています。
スキャンダルの詳細と政治的影響
マンデルソン氏は昨年2月に駐米大使に着任しましたが、同年9月にエプスタイン氏との親交が問題視され、スターマー首相によって解任されました。その後、米司法省が今年1月末に開示した捜査資料「エプスタイン文書」から、マンデルソン氏が過去にエプスタイン氏に政府の機密情報を提供していた疑惑が浮上。警察が捜査に乗り出すなど、一大スキャンダルに発展しました。
今月4日に開かれた議会の党首討論では、野党側がスターマー首相とマンデルソン氏の関係について追及。首相は「把握していた」と認めたことで、風当たりが急速に厳しくなりました。「ここまで深く、闇のある関係だとは知らなかった」と釈明したものの、野党側は退陣圧力を更に強める構えを示しています。
政権内部の混乱と世論の反応
首相府も揺れており、長らくスターマー氏の右腕を務めてきたモーガン・マクスウィーニー首席補佐官が先日、「首相にマンデルソン氏の駐米大使起用を進言したが、私の間違いだった」と声明を発表し、辞任に追い込まれました。
調査会社ユーガブの1月中旬の世論調査では、スターマー首相の支持率は18%と低迷しています。今回のスキャンダルは、不人気の首相にとって大きな痛手です。今年5月には苦戦が見込まれる地方選が控えており、「スターマー氏では戦えない」という声も与党内で強まっています。
ニュースサイト・ポリティコは労働党議員らへの取材を踏まえ、「5月まで首相にとどまれたとしても、選挙次第で何が起こるかわからない」などと報じており、首相の進退問題に発展する可能性が示唆されています。この事件は、英国政治に深い影を落とし、政権の存続を危うくする要素となっています。