たつの母娘殺害事件、死亡容疑者の素顔
兵庫県たつの市の住宅で母親と娘が殺害された事件で、殺人容疑で全国に公開手配されていた元隣人の住所・職業不詳、大山賢二容疑者(42)が遺体で見つかり、刑事責任を問うことができなくなった。住民らは母娘をしのびながら、動機の解明が困難となったことに複雑な心情を漏らした。
遺体発見と公開捜査の経緯
遺体は今月3日、同市御津町中島の河川で発見され、翌4日に身元が大山容疑者と判明した。大山容疑者の逮捕状を取って行方を捜していた県警は5月24日に顔写真を公開。約10日間で県警に寄せられた情報は380件に上った。渡辺昭二・捜査1課長は「公開捜査への協力に感謝します」と述べた。
事件は同13日頃に発生。同市新宮町段之上の住宅で、母親の田中澄恵さん(74)と次女の千尋さん(52)が殺害された。
母娘の生活と人柄
近隣住民らによると、澄恵さんの夫が数年前に亡くなった後、母娘は2人で暮らしていた。知人の70歳代女性は「よく2人で買い物に出かけていた。仲のいい親子だった」と話した。千尋さんは猫が好きで、姫路市内の猫カフェに通っていた。店を営む40歳代の女性は、旅先で買った招き猫の置物を店の記念日に合わせて贈られたといい、「心遣いのできる優しい人だった」と振り返った。
千尋さんは以前、同市や神戸市の温浴施設でマッサージセラピストとして勤務していた。ここ数年は2人とも病気がちで、澄恵さんは「娘は働けない」と周囲に漏らしていたという。5月上旬に澄恵さんと会ったという女性は「病気にも負けず、冗談をよく言う明るい人だった。なぜ殺されなければいけなかったのか」と憤った。
大山容疑者の過去と住民の困惑
一方、大山容疑者は田中さん宅の隣にある木造の空き家が実家だった。中学時代は不登校気味だったものの、同級生だった男性は「学校に来ればよくおしゃべりをしていた」と語った。父親の造園の仕事を手伝い、ホストクラブやコンビニで働いていた時期もあったとされるが、近年は住民らがその姿を見かけることはなかった。親族の女性によると、昨年亡くなった祖母の葬儀にも参列しなかったという。
近くの60歳代男性は「なぜ事件を起こしたのか、わからないままだ」と話し、真相の解明を願った。



