「宇宙刑事ギャバン」のギャバン・一条寺烈役や「電子戦隊デンジマン」のデンジブルー・青梅大五郎役、「バトルフィーバーJ」のバトルケニア・曙四郎役など、数々の心に残るヒーローを演じた俳優、大葉健二さんが5月6日、71歳で亡くなった。最後の出演となった2018年の還暦祭でポーズをとる大葉さんの姿が、ファンの記憶に刻まれている。
最初の出会いは15歳の頃
筆者が初めて大葉さんに会ったのは15歳の時だった。放送中だったデンジマンに夢中で撮影所見学に行き、サインや写真を撮ってもらった。昭和の牧歌的な時代で、撮影所は見学を許していた。憧れのデンジブルーを前に緊張して言葉が出なかった筆者に、大葉さんは優しく丁寧に接してくれた。時が流れ、大人になってからは何度も取材し、イベントに出演してもらった。大葉さんはいつも明るく、真面目で、ちゃめっ気があり、演じてきたヒーローそのものだった。酒席も共にし、いくら飲んでも乱れず、周りには常に人の輪があった。イベントの打ち上げで座が荒れると、率先して場を収めてくれた。
還暦祭での思い出
病に倒れる約1か月前の2018年春、筆者主催の「還暦祭」に出演してもらった。「短い殺陣を」とお願いしたところ、真顔の大葉さんは「たて!」と叫びながらゴロンと横になり、バネ仕掛けの人形のように体幹の力だけで身体を起こして正座する動作を繰り返し、こちらを向いてニカっと笑った。意図がわからず何をしているのか尋ねると、「短いタテ、というから縦になったんだけど……」と、わざと不思議そうな表情を作って見せた。思わず吹き出してしまったのを覚えている。
人柄が投影されたヒーロー像
大葉さんの魅力は、その人柄が演じる役やアクションに投影されていた点にある。強くて底無しに優しく、カッコいいのにちょっと抜けている。ギャバンなどのヒーロー役に最適任で、大葉さんこそがそういう人物だった。普段は笑顔を絶やさない大葉さん演じるヒーローが、人の心を踏みにじる敵に怒り、子供たちに正義を説き、超人的なアクションを繰り出すからこそ、説得力があった。
圧巻のアクション
ジャパンアクションクラブ1期生として、高い崖やビルの窓から飛び降りたり、走るトラックの幌に飛び乗ったり、ターザンのようにロープ一本で滑空する大技を難なくこなした。トランポリンでのジャンプは誰よりも高く「空中で止まっているようだ」と評され、重力を忘れたように軽やかに連続バック転を決め、ワイヤーなしで地面と垂直な壁を駆け抜けた。どれも脳裏に焼き付く忘れられないアクションである。
闘病とファンの思い
最近は地元・愛媛県でリハビリを続けていると、弟子の武智健二さんから聞いていた。最近のイベントでは、「頑張って!」「待ってますよ」と客席と出演者が一緒に呼びかける動画を武智さんが撮って病床に届けるのが恒例だった。いつか奇跡が起きて、あの独特のイントネーションの「おじゃまします」という挨拶とともに帰ってくると信じていた。
世界に愛されたヒーロー
訃報が届いてから、SNSには日本だけでなく世界中のファンから大葉さんを惜しむ声があふれ続けている。ハリウッド映画のようなビッグタイトルではない日本のヒーロー番組の出演者が、これほど世界の人に愛され、その逝去が悼まれている。言葉や文化の壁を軽々と乗り越え、世界中の人の心を揺さぶる偉業を成し遂げた人だった。
今は残念で、悲しく、そして寂しい。でも、きっとこれからも大葉さんの遺した映像は、世界中の人に前に進む元気と立ち上がる勇気を与え、弱いものを慈しむ優しさを教え続けるはずだ。8月には、大葉さんを追悼するイベントを仲間たちと開催する予定である。



