滋賀県守山市守山に、まちづくりをテーマにした民営図書館「しがまち図書館 まちづくり本部」がオープンした。本棚を個人や団体に貸し出し、オーナーが自ら選んだ図書を陳列するユニークな仕組みで、人と人とのつながりを生み出すことを目指している。
本棚オーナー制度で人と人をつなぐ
図書館は広報会社「しがとせかい」(湖南市)が運営し、5月16日に開館。同社社員で館長の物部麻唯さん(22)が2024年末に「本を使って人と人をつなげる場所を作りたい」と発案し、関東や中部地方の民間図書館の運営手法を学んで実現した。物部さんは「民間なので継続的に利益を上げる必要があり、その方法を作るのに苦労した」と振り返る。
施設内には高さ28センチ、幅40センチほどの棚が約100個並び、1棚を月2000円で貸し出す。ただし、陳列する図書は「まちづくりに関連したもの」が条件だ。物部さんは「棚に並んだ本を見ればオーナーの人となりが見えてくる。『この人と話してみたい』といった偶然のつながりが生まれることを期待している」と話す。オーナーが店番をしたり、借りた人の存在を館長が伝えたりしながら、人と人の「化学反応」を誘発する狙いだ。
Uターン・Iターン者もターゲットに
図書館はUターンやIターンで滋賀に来た人たちもターゲットにしており、「以前の交友関係がなくなっていたり、まちの姿が変わっていたりしても、本をきっかけにつながりが生まれるはず」と物部さん。現在、県出身で東京在住の会社経営者など約20人がオーナーとして契約している。守山市の森中高史市長も「野洲川物語」(サンライズ出版刊)などの蔵書を持ち込んだ。
棚には同社が選んだ「まちづくりゲームカタログ」(学芸出版社刊)などの本に加え、「世界『倒産』図鑑」(日経BP刊)といった一風変わった本も並ぶ。
閲覧・貸出は無料、代わりにまちの課題を提案
閲覧や貸し出しの利用料は無料だが、その代わりにまちの課題や悩みを一つ提案することが必要だ。これまでに「スーパーマーケットがなくて不便」「自転車で走ると車が怖い」といった生活に関する困りごとが寄せられた。物部さんは「何に困っているかがわからなければ、根本から解決できない」と考えており、課題や困りごとを出発点に、本を介して出会った新たなつながりが生むパワーでまちの活性化を目指す。
物部さんは「守山はまちづくりをテーマにしたが、いずれは県内の19市町すべてに、それぞれテーマを設けた図書館をつくりたい」と構想を描いている。
開館情報
開館は木・金曜午後4時~8時、土曜午後2時~8時。問い合わせは同社(0748・60・2249)。



