さいたま市誕生25年 大宮・氷川参道の変遷
さいたま市が2001年5月に浦和、大宮、与野の3市合併で誕生してから25年。人口135万人を超える大都市に成長した。その象徴の一つが、大宮の地名の由来ともなった武蔵一宮氷川神社(さいたま市大宮区)へと続く全長約2キロの参道だ。日本一の長さを誇るこの参道は、近年、歩行者優先の空間へと大きく生まれ変わっている。
車の抜け道から歩行者天国へ
かつては一の鳥居から約1キロの区間が車の抜け道として使われ、路上駐車や排ガスが問題に。歩行者は車を避けて並木の土の上を歩き、樹木の根を踏み固めるなど環境への悪影響も懸念されていた。こうした課題を解決するため、1995年に地域住民らが「氷川の杜まちづくり協議会」を発足。行政と連携し、歩道と車道の分離工事を段階的に進め、2009年に完了。2019年には一部区間を歩行者専用化した。
住民参加のまちづくり
元市職員の中野英明さん(68)は「住民参加型のまちづくりは当時は新しい挑戦だった」と振り返る。住民間で意見の相違もあったが、勉強会や交通社会実験を重ね、地域全体で機運を醸成。中野さんは約12年間参道整備を担当し、「試行錯誤しながらも、絶対にやるべきだという信念があった」と語る。現在も「神社の参道としての趣を残しつつ、歩行者が自由に行き交える場所になってほしい」と願う。
半世紀以上参道沿いに暮らす山田とも子さん(81)は、四季折々の魅力を語る。「新緑、夏の蝉時雨、紅葉、雪景色…どれも素敵」。長年まちづくり協議会で活動し、現在会長を務める山田さんは、広報紙の発行や落ち葉清掃、花の植栽などを続けてきた。「行政が引っ張ってくれたからこそ、ここまで来られた。参道を通る人たちが、きれいな並木を見上げて歩くようになった」と成果を実感する。
今後の課題と展望
一の鳥居から約1キロの整備は継続中で、今年秋には大部分が歩行者専用道路となる予定。今後は自転車のマナー向上など新たな課題にも取り組む。山田さんは「もっと緑豊かな『都心のオアシス』であってほしい」と話し、より良いまちづくりへの思いは尽きない。
氷川参道の概要
氷川神社まで続く南北約2キロの並木道。ケヤキ、シイなど600本以上の木が植えられ、三つの大鳥居がある。「平成ひろば」とその北側では車道が並木の外を通る。自然豊かで落ち着いた空間は大宮のシンボルとして親しまれている。



