人口減少対策の一環として、結婚を希望する県民らを紹介する香川県の「かがわ縁結び支援センター」が今年度、開所から10年を迎えた。支援ボランティアが登録会員の顔合わせに立ち会い、交際をフォローするのが特徴で、これまでに240組が結婚に至った。しかし、会員数は減少傾向にあり、センターは今年度からオンラインでの会員登録を開始した。
未婚化の現状
2020年の国勢調査によると、30~34歳の香川県民の未婚率は男性が47.6%、女性が34.6%。上昇傾向が続き、男女とも20年前より10ポイント以上高く、県は「未婚化、晩婚化が急速に進行している」と分析する。
一方、国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに行う全国調査では、近年、未婚の25~34歳の7~8割程度が「いずれ結婚するつもりだ」と回答。独身の理由では、最多の4割超が「適当な相手にまだ巡りあわないから」を選んでいる。
センターの取り組み
県は「結婚は本来、個人の自由な意思で選択されるべきだが、将来的に希望しながら独身である人も多い」として、2016年に高松市内に同センターを開設。公益財団法人「かがわ健康福祉機構」(高松市)に運営を委託している。県によると、各地でも同じ頃に同様の取り組みを始めたという。
縁結びマッチング
センターは会員を引き合わせる「縁結びマッチング」に取り組む。会員登録は県内在住・在勤、もしくは今後県内での居住を希望する20歳以上の独身男女が可能だ。手続きには本籍地の自治体が発行する「独身証明書」や写真付き身分証明書などに加え、2年間で1万円の登録料が必要となる。
「縁結びおせっかいさん」の役割
特徴は「縁結びおせっかいさん」と名付けたボランティアが関わることだ。年齢や居住市町、身長、職業、結婚歴などのプロフィルを見て、面会を希望する相手がいればセンターを介して申し込み、相手も承諾すればおせっかいさんが日時などを指定。当日は2時間の面会のうち、最初の30分間は立ち会い、会話をサポートする。
面会終了後は双方に交際の意思を確認。成立すれば初めて氏名や連絡先を双方に知らせる。その後も半年に1回、おせっかいさんが交際についての相談にのるなどしている。
県の担当者は「個人情報を守りながら、まずはリアルで会ってもらう仕組み」と説明し、「240組が成婚し、効果は一定程度出ている」と強調する。おせっかいさんは個人情報保護などの研修を受講することが条件で、今年3月末現在で60人が活動しているという。
課題と対策
課題は会員数の確保だ。2018年度末は1323人だったが、2025年度は845人まで落ち込んだ。コロナ禍で相談窓口を休止するなどしたが、その後も減少傾向が続いている。
県子ども政策課は「登録や更新手続きのハードルの高さが一因」とみて、今年度からはオンラインによる登録制度を導入。これまでは独身証明書を持参し、センターや特設会場に来所してもらっていたが、オンライン会議システムやマイナンバーカードを利用して来所しなくても受け付けている。
同課は「遠方や仕事が忙しい人でも簡単、便利に手続きできる」とPRしている。
ボランティアの声
「縁結びおせっかいさん」の中には、引き合わせなどに60回以上携わったベテランも多い。高松市のフィットネスインストラクター安本和江さん(68)もその一人だ。
安本さんは30歳代の頃、夫の後輩の結婚式で新郎新婦を介添えした。「こんなに幸せを身近に感じられるなんて。もう一度やりたい」と感じたという。
機会に恵まれないままだったが、約10年前、勤務先のスポーツジムの利用者から「子どもがいい人と出会った」と聞き、センターを知った。神戸市出身で、「話し好きな関西のおばちゃん」という自身にはぴったりと、2020年におせっかいさんとして活動を始めた。
2人の初対面の立ち会い前にはプロフィルを読み込み、「どういう話題なら話しやすいか」を考えて臨む。“鉄板”はアニメの話という。心がけているのは「沈黙を作らないこと」。家族構成や転勤、自炊経験の有無など「交際や結婚を考える参考になる」質問も織り交ぜる。多くの対面を支え、実感するのは「うまくいく2人は、話が盛り上がらなくても、最初からどこかいい感じ」だという。
多くの人が結ばれることを願いつつ、安本さんは語る。「ゴールは結婚ではなく、お互いを尊重する相手と出会い、幸せになることです。その転機に立ち会えるのならうれしい」



