浜松で幻の名物料理が復活!元サッカー選手が秘伝の味を継承
2021年に惜しまれながら閉店した、静岡県浜松市中央区小豆餅のウナギ専門店「なかや」の名物料理が、このほど同市内で見事に復活を果たしました。焼いたウナギに土佐酢や大葉、ネギ、ショウガをかけた「土佐焼き」は、45年の歴史を持つ老舗の味として親しまれてきました。その伝統を引き継いだのは、元常連客でサッカーJ2ジュビロ磐田のゴールキーパーとして活躍した三浦龍輝選手(33)です。
門外不出のレシピを伝授「三浦くんは子どもみたいなもん」
三浦選手は、2017年にジュビロ磐田に移籍して以来、「なかや」の料理をこよなく愛し、頻繁に通い詰める常連客でした。閉店後、三浦選手が「自分が継ぎます。力を貸してくれませんか」と願い出ると、83歳の元店主・中谷修明さんは即座に承諾。他店からのレシピ公開の依頼は断っていた中谷さんですが、「三浦くんはおれの子どもみたいなもん」と語り、門外不出の秘伝レシピを伝授したのです。
土佐焼きは、中谷さんが考案した独自の料理で、土佐酢を使ったカツオ料理を参考にウナギで試したところ好評を博しました。浜名湖産などの活鰻を白焼きにし、かば焼きの甘辛いたれは使用せず、皮はパリッと香ばしく、身は引き締まった食感が特徴です。土佐酢がよく合い、脂が苦手な人でも食べやすい味わいが魅力となっています。
姉の夫が店長に就任、1年半の修業を経て本格復活
実際に調理場に立つのは、三浦選手の姉・島村絵里奈さんの夫である哲郎さん(44)です。北海道南幌町出身の哲郎さんは、札幌市近郊や東京・日本橋の魚料理店で約20年の経験を積んだベテランですが、ウナギの調理は未経験でした。「さばけないものをさばいてみたい」という思いから新たな世界に挑戦し、店長に就任しました。
哲郎さんは、東京都内の関西風と関東風のウナギ店で1年半にわたる修業を重ね、昨年1月に浜松市に移住。中谷さん宅で直接指導を受け、三浦選手も試食を繰り返しながら酸味の調整を行い、本物の味に近づけていきました。中谷さんは「島村くんは仕事熱心。心配はない」と評価し、レシピを紙にまとめて技を惜しみなく伝授。接客のコツも教え、「味はちっとも変わらない。おいしいよ」と太鼓判を押しています。
開店から約1年、地域に根付くお店を目指して
三浦選手がオーナーを務める新店「鰻みき谷」は、昨年5月に浜松市中央区三島町でオープン。土佐焼きの復活を聞き付けた常連客を中心に、開店直後から満席になる日も続いています。浜松市内にはウナギ料理店が25店舗以上あり、激しい競争が繰り広げられる中、哲郎さんは「浜松の名店に肩を並べるお店にしたい」と意気込んでいます。
ホール業務を担当する絵里奈さんも「なかやの思いを継いで地域に根付いたお店にしたい」と語り、夫婦二人三脚で店舗運営に取り組んでいます。土佐焼きやうな重などを含む「みき谷御前」は5700円で提供され、営業時間は午前10時半から午後2時、午後5時から同8時まで。土日祝日は通し営業で、火曜日が定休日です。
ウナギを巡っては稚魚の不漁や密漁、国際取引規制など暗い話題が多い中、「土佐焼き復活」は久しぶりの明るいニュースとして地域から歓迎されています。さっぱりとした味わいはいくらでも食べられそうで、多くの客足を呼び寄せています。伝統の味が新たな形で受け継がれ、浜松の食文化に新たな彩りを添えています。



