東京都がAI活用の指針を策定 業務ごとに異なる対応方針を明確化
東京都は、職員が業務において人工知能(AI)を安全かつ効果的に活用するための「都AI導入・活用ガイドライン」を正式に策定した。昨年7月に公表された「都AI戦略」に基づく具体的な指針であり、多様化・複雑化する行政課題や労働力不足への対応策として、都政におけるAIの積極的な利活用を推進する方針を示している。
リスクレベルに応じた活用区分を設定
ガイドラインでは、業務内容に応じてAI活用のアプローチを明確に区分している。「比較的リスクが低く積極的に利活用すべき業務」として、データ分析や庁内文書の下書き作成などを具体的に例示。これらの業務ではAIの積極的な導入を推奨し、行政効率の向上を目指す。
一方、「リスクに十分配慮が必要な業務」としては、補助金や給付金の申請データと要件の照合、添付書類の不足確認、記入漏れのチェックなど、個人情報を基にした審査や評価を伴う業務を挙げている。これらの分野では、AIを判断支援ツールとして活用することは可能としながらも、慎重な対応を求めている。
透明性と説明責任を確保する仕組み
ガイドラインでは、AI活用における透明性と公平性の確保にも重点を置いている。具体的には:
- AIの処理経過を保存し、後から確認できる仕組みの構築
- 著作権などに関する疑問に対応する「AIワンストップ相談窓口」の充実
- 職員向けの適切な研修と教育プログラムの実施
これらの措置により、AIシステムのブラックボックス化を防ぎ、説明可能なAI活用を目指す方針だ。
大幅な予算増額で242事業を推進
東京都は本年度当初予算において、AI関連事業に前年度比約2倍となる389億円を計上している。この予算により、計242件のAI関連事業が推進される予定で、都政全体のデジタル化と効率化が加速することが期待されている。
「最終判断は人間が担う」という基本原則
幸田友資AI戦略担当課長は、「AI任せにするのではなく、最終的な判断や責任はあくまで人間が担うことが重要だ」と強調。業務支援の手段の一つとしてAIを正しく活用し、職員の判断力と責任感を補完する形での導入を目指す方針を示した。
東京都のAIガイドライン策定は、地方自治体におけるAI活用の先進的な事例として注目を集めており、他の自治体への波及効果も期待されている。2026年度までのロードマップに沿って、段階的な導入と評価が進められる予定だ。



