香川県が抹茶生産研究に着手、世界的ブームを追い風に茶業振興を図る
世界的な抹茶ブームが続く中、香川県は2026年度から県産抹茶の生産に向けた本格的な研究を開始する。県内の茶業は長年、煎茶生産を中心としてきたが、農家の高齢化や機械の老朽化に伴い生産量が急減。一方で、抹茶は健康志向の高まりや海外での人気を背景に需要が拡大しており、県は「茶業振興への新たなチャンスを探りたい」と意気込んでいる。
県内茶生産の現状と抹茶への転換の背景
香川県によると、県内の茶生産は1975年にピークを迎え、403ヘクタールで栽培されていた。しかし、2014年頃には三豊市高瀬町や高松市南部、まんのう町などの計67ヘクタールで93トンに減少し、2024年には高瀬町のみの11ヘクタール、15.8トンにとどまっている。高瀬町では煎茶が主流で、抹茶の原料となる「てん茶」は生産されていないという。
一方、欧米を中心に「抹茶ラテ」などの飲料が普及し、スイーツでも抹茶が人気食材として定着。財務省などのデータでは、抹茶を含む緑茶の輸出量が2025年に1万トンを超え、輸出額は過去最高の約721億円を記録した。農林水産省も2025年に策定した茶業振興の基本政策指針で、「海外で需要が多く取引単価が高い」と指摘し、てん茶への生産転換を推進する方針を示している。
研究事業の具体的な内容と今後の展望
香川県は2026年度一般会計当初予算に、県産抹茶の生産に向けた研究事業として500万円を計上。県農業試験場が保有するまんのう町の茶畑で、てん茶の収穫量を確認するほか、県の風土に適した品種の探索を進める。また、栽培開始後はすぐに収穫できず、抹茶加工用の機械投資も必要となるため、専門家に利益を得るために必要な茶園の規模などを検討してもらう予定だ。
研究結果を踏まえ、県はてん茶への生産転換の推奨や新産地の開発、耕作放棄地の利用などを検討する方針。県農業生産流通課は「県内の茶生産を盛り上げる可能性を探れれば」と期待を寄せている。
抹茶と煎茶の製造方法の違い
抹茶は、茶の新芽が出た頃に茶園に覆いをかけて日光を遮り収穫した後、茶葉を蒸して揉まずに乾燥させた「てん茶」を原料とする。一方、一般的な煎茶は光の下で茶葉を収穫し、加熱後に揉んで製造される。このように、生産・製造方法が異なる点が特徴だ。
香川県の取り組みは、世界的な抹茶ブームを機に、衰退傾向にある県内茶業の活性化を目指す試みとして注目される。今後、研究を通じて得られた知見が、地域経済の振興や伝統産業の維持にどのように貢献するかが期待される。



