公園管理のデジタル化が都内で本格化
人手不足が深刻化する中、東京都内の公園では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した維持管理の効率化が急速に進んでいます。アプリによる情報の一元管理や、人工知能(AI)を搭載したカメラなどの最新技術を導入する動きが相次いでおり、従来の業務プロセスを大きく変革しようとしています。専門家は、これらの取り組みが単なる省力化にとどまらず、公園の価値を高める新たな可能性を秘めていると指摘しています。
アプリで情報共有を効率化
八王子市の都立小宮公園では、2018年度から独自のアプリ「パークモニタリングシステム」が導入されています。このアプリは、多摩部や武蔵野、狭山丘陵の17都立公園で活用されており、設備の老朽化や貴重な動植物の発見など、多岐にわたる情報を一元管理することが可能です。
同園を管理運営するNPO法人「NPO birth」の杉山俊也さんは、スマートフォンのアプリ画面を開き、「新規案件入力」ボタンを押して状況を選択し、写真を添付するだけで、わずか2分以内に入力が完了すると説明します。従来は職員が現場を巡回した後、管理所に戻って日報を作成する必要がありましたが、アプリの導入により大幅な省力化が実現しました。
杉山さんは「開花情報などを各職員が即時把握できるようになり、公園利用者への情報提供もスムーズになりました」とその効果を強調しています。
AIカメラで人流データを分析
新宿区の都立明治公園では、2024年1月末からデジタル街路灯「スマートポール」が園内5か所に設置されています。この設備は防犯カメラとしての機能に加え、AIを活用して人流データを取得し、来場者の年齢や性別などの属性を分析することができます。撮影した画像は保存されないため、プライバシーにも配慮されています。
同公園は国立競技場の近くに位置し、イベント開催時には多くの人々が訪れます。スマートポールを開発した「セキュアル」(渋谷区)によると、人流情報は警備計画やキッチンカーの配置などに役立つとされています。
同社の菊池正和代表取締役CEOは「来園者のデータは、公園のにぎわい創出につながる貴重な情報源です」と述べています。
マナー向上へのAI活用
公園の利用ルールを浸透させるため、AI技術を試みた事例もあります。墨田区の「すみだスケートボードパーク」では、ヘルメット着用が義務付けられているにもかかわらず、未着用の利用者がいるという課題がありました。
この問題に対処するため、同公園では2025年2月から3月にかけて、ヘルメット未着用者をAIカメラで検知する実証実験を実施しました。カメラが画像解析を行い、未着用と判断されると、スピーカーで注意喚起が行われます。実験を担当した「AWL」(品川区)の北出宗治社長は、「ドッグランなど、マナーが問題となる公園でも応用可能な技術です」と話しています。
実験では、カメラの判別正解率がプレイエリアで93%に達しましたが、注意されても着用しないケースが多かったとの報告があります。墨田区公園課の小林将之課長は、「課題は残るものの、職員が常時監視するわけにはいかないため、管理手法の一つとして有効です」と振り返っています。
DXで公園の価値を高める
武蔵大学の庄司昌彦教授(情報社会学)は、人手不足への対応として管理の効率化が進んでいる現状を分析し、次のように指摘しています。
「業務プロセスのデジタル化だけでなく、利用者が公園に愛着を持てるようなデジタル活用も重要です。例えば、公園の生物や木々の情報、人混みを避けられる場所などを利用者に発信することで、プラスアルファの価値を生み出すことができます」
公園管理のDXは、単なる効率化を超え、新たな価値創出に向けた大きな一歩を踏み出しています。今後の展開に注目が集まります。



