豊臣秀長ゆかりの地を巡る観光パンフレットが兵庫県但馬地域で発行
戦国武将・豊臣秀長(1540~1591年)と関わりの深い兵庫県但馬地域の観光地をまとめたパンフレットが、地元の朝来市、香美町など3市2町の共同事業として製作されました。この取り組みは、秀長を主人公に描くNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放送開始に合わせ、地域の歴史的価値への関心を高め、観光振興を図ることを目的としています。
歴史的城郭を中心に但馬の魅力を紹介
「豊臣秀長ゆかりの地めぐり」と題された8ページの観音折りパンフレットは、仕上がりサイズがA4で、合計1万200部が発行されました。配布は各市町の観光案内所や宿泊施設などを通じて行われています。
パンフレットでは、秀長が城主を務めた有子山城(豊岡市)や城代を務めた竹田城(朝来市)をはじめ、兄・豊臣秀吉に仕えた武将たちが城主だった八木城(養父市)の城跡など、但馬地域に残る歴史的遺構を詳細に紹介しています。
さらに、但馬平定の過程で小代一揆の激戦地となった「小代」(香美町)や、秀吉に「山賊衆」と呼ばれた塩冶高清の居城だった「芦屋城跡」(新温泉町)など、戦国時代の歴史を物語るスポットも取り上げられています。
関連武将や地域の特産品も網羅
パンフレットの内容は城跡に留まらず、藤堂高虎や黒田官兵衛、桑山重晴など秀長と関係の深い戦国武将7人についても解説を加えています。これにより、訪れた観光客がより深く歴史的背景を理解できるよう配慮されています。
また、各地域の特産品についても説明がなされており、歴史探訪とともに但馬の食文化や工芸品にも触れることができる構成となっています。地図と写真を効果的に配置し、実際に足跡をたどりやすい工夫が随所に施されています。
専門家による城郭研究の成果も刊行
このパンフレット発行に合わせ、兵庫県豊岡市の城郭団体「山名氏城跡保存会」は、中井均・滋賀県立大学名誉教授(日本城郭史)の講演録「但馬の織豊系城郭」を刊行しました。
講演録では、秀長ゆかりの有子山城跡について、1580年の秀長入城以降、石垣や瓦ぶきの建物を持つ「織豊系城郭」に改築された経緯を解説しています。中井名誉教授は「山名氏段階の城の構造に石垣を設けることで豊臣化、近世化を図っている」と評価し、その歴史的意義を強調しています。
同様に竹田城跡についても、豊臣政権の影響下で1593年から1600年頃にかけて現在の姿に整備されたとの見解を示しています。この講演録はA5判86ページで、1冊800円(税込み)で販売されており、豊岡市や養父市内の書店5店舗、いずし観光センターなどで購入可能です。
保存会は「有子山城は但馬の政庁にふさわしい城であったことがわかる。多くの方に関心を向けてほしい」と呼びかけています。
これらの取り組みは、大河ドラマの放送を契機に、但馬地域が持つ豊かな歴史的遺産を再評価し、持続可能な観光資源として活用していく姿勢を示しています。地域の歴史と文化を未来へ伝える貴重な試みとして、今後も注目が集まりそうです。



