北欧のテキスタイルと暮らし展が日本橋高島屋で開催 エレン・ケイの思想を約100点の作品で体感
中央区の日本橋高島屋では、現在「北欧のテキスタイルと暮らし展」が開催されています。この展覧会は、スウェーデンやフィンランドの豊かな表現にあふれたテキスタイル作品を紹介するもので、3月7日から16日まで開催されています。
「美しさをすべての人に」という19世紀末の思想がテーマ
展覧会の中心テーマは、スウェーデンの思想家エレン・ケイが19世紀末に提唱した「美しさをすべての人に」という言葉です。ケイらが暮らしの細部に心地よさを取り入れた思想が、北欧の社会をどのように形作ってきたかを、約100点の作品を通じて描き出しています。
展示作品は19世紀の作者不詳のテーブルクロスから戦後のモダンデザイン、そして現代の表現まで多岐にわたります。特に注目すべきは、スウェーデンで活躍した斬新な色彩のヴィオラ・グロステンや、幾何学的パターンを取り入れた「北欧モダンの旗手」アストリッド・サンペら巨匠たちの布地です。また、フィンランドのマイヤ・イソラによるマリメッコを代表するウニッコ(ケシの花)柄の多様な作品も展示されています。
「真の豊かさ」へのまなざしと公共的精神
これらの作品に共通するのは、「真の豊かさ」へのまなざしです。どんな経済状況にあっても、美しいものに囲まれて生きる権利が全ての人にあるというメッセージが込められています。この公共的精神が、幸福度の高い北欧の現代社会につながっていると考えられています。
展覧会を監修した北欧建築・デザイン協会前会長の川上玲子さんは次のように語ります。「スウェーデンの大学に留学し、古いデザインを徹底して学びました。どの時代のテキスタイルにもそれぞれ色あせない魅力があります。古い物を大事に受け継いでいく精神をこの場で感じとってほしい」。
川上さんの長女で俳優の川上麻衣子さんは、スウェーデンで生まれ幼少期を過ごした経験から次のように述べています。「小学校も優れたインテリア空間を持っています。そこでの教育が人々の個を育み、デザイン感覚を養います。そんなシステムが社会全般に行き渡っていると思います」。
単なる装飾を超えた「生活の芸術化」を体感
この展覧会は、単なる装飾を超え、感性を耕してくれる「生活の芸術化」を体感できる場となっています。北欧のテキスタイルが持つ深い意味と、それらが日常生活にどのように溶け込んでいるかを学ぶ貴重な機会です。
展示されている約100点の作品は、それぞれが独自の歴史と物語を持ち、観る者に北欧のデザイン哲学を伝えています。エレン・ケイの思想が現代にも息づいていることを実感できる展覧会です。



