別府八湯温泉道で「泉聖」に輝いた佐藤英也さん、88か所巡りの魅力と温泉文化の継承を語る
別府温泉道で「泉聖」佐藤英也さん、88か所巡りの魅力語る

別府八湯温泉道で「泉聖」を獲得した佐藤英也さん、88か所巡りの魅力を語る

まだまだ寒さが続く2月は、温かな湯が恋しくなる季節だ。大分県別府市とその近郊で展開される温泉スタンプラリー「別府八湯温泉道」において、88か所をすべて巡り、2021年に最高位の「泉聖」の称号を手にした佐藤英也さん(59歳)に、温泉巡りの魅力やその道のりについて話を聞いた。

温泉道を始めたきっかけと約20年の歩み

佐藤さんが温泉道を始めたのは、1999年に広島県内のIT企業で勤務していた際、大分への出張で「海門寺温泉」(別府市)を訪れたことがきっかけだった。安価で入浴でき、落ち着いた雰囲気に魅了されたという。その後、プライベートでも別府を訪れるようになり、2001年に温泉道が始まると、ガイドブックを頼りに湯巡りを楽しんだ。1日で15か所ほどを巡ったこともあるという熱の入れようだ。

2015年には日出町に移住し、知人が経営する居酒屋を手伝いながら、1日に3、4か所の温泉を巡る生活を送った。2017年に再就職した後も、出勤前と退勤後にそれぞれ1か所ずつ温泉に入る習慣を続け、2021年に泉聖となった。約20年間にわたる地道な努力の末に得た称号であり、金色の刺しゅうが施された黒色の認定タオルを手にした時は、感慨深いものがあったと語る。

温泉道の魅力と別府の温泉が世界から愛される理由

別府八湯温泉道では、88か所を巡った「名人」が外国人を含めて延べ1万2000人を超えるなど、世界的な人気を集めている。佐藤さんはその魅力について、「泉質や温度の違いを発見するのが楽しい」と強調する。さらに、海外の人々にとっては、地域住民の生活に温泉が溶け込み、皆で裸になって湯船につかることが新鮮で魅力的に映っているのではないかと推測する。

温泉巡りは今も生活の一部となっており、毎日のように温泉を訪れているという。自宅のユニットバスはほとんど使わないため、ガス代も非常に安く済むと笑う。温泉道も継続しており、各施設の入湯記念印を押すスタンプ帳「スパポート」は118冊目に達した。最近のお気に入りは、熱めのちょうどいい湯加減とこぢんまりとした空間が特徴の「市の原温泉」(別府市)だ。体力が続く限り温泉に入り続け、温泉道に登録されていない隠れた名湯も巡ってみたいと意欲を見せる。

温泉文化の継承と次世代へのメッセージ

老朽化や後継者不足を理由に、地域住民に親しまれた温泉施設が閉鎖される現状もある中、佐藤さんは次世代の温泉愛好家たちに伝えたいことを語る。「たくさんの人が通うことが施設の経営を支え、温泉文化を守ることにもつながる」と指摘し、愛好家たちには温泉巡りの魅力を周囲にPRして、温泉ファンを増やしてほしいと呼びかける。

佐藤英也さんは三重県出身で、現在は日出町の水産加工会社に勤務しながら温泉通いを続けている。丸刈りのヘアスタイルは「洗うのが楽で、すぐに乾く」と湯めぐり仕様だという。趣味はカラオケで、小田和正さんのオフコース時代の名曲「さよなら」などが十八番とのこと。温泉への情熱と文化継承への思いが、寒い季節に温かな話題を提供している。