昭和の川口を描く「キューポラのある街」展、さいたま文学館で開催中
「キューポラのある街」展、さいたま文学館で開催

小説で知る昭和の川口 「キューポラのある街」展

埼玉県桶川市のさいたま文学館で、昭和30年代の川口市を舞台にした小説「キューポラのある街」を題材にした企画展が開かれている。吉永小百合さん主演の映画版で知られるが、県ゆかりの作家、早船ちよ(1914~2005年)の原作小説を再評価しようと、所蔵資料86点を公開している。

「キューポラのある街」とは

「キューポラのある街」は1961年に単行本が出版され、翌62年公開の映画が大ヒットした。貧しさの中で生きる主人公の少女ジュンや周囲の人々の姿を、非行や家族関係、韓国での漁民抑留、在日朝鮮人の帰還事業といった当時の社会問題と絡めて描いている。

早船は岐阜県出身で、44年に東京都内から川口市へ疎開。53年に旧浦和市へ転居し、40年以上暮らした。小説に描かれた川口の景観は、自身の実地調査が反映されているという。

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展示内容

展示は、全6部に及ぶ長編シリーズの執筆メモや自筆原稿などが並び、創作の過程をうかがい知ることができる。映画のスチル写真や演劇版、ラジオドラマ版のシナリオもある。

読者からの反響を書き留めたメモや親子向け読書会の資料からは、同時代の人々に与えた感動の深さが分かる。62年に深谷中学校国語部が編んだ映画版の感想文集では、当時の中学生が「この世はいかに矛盾にみちているかを知らされた思いと同時にたくましく生きていく少女に敬意を表したい」とつづっている。

学芸員の山田琴子さんは「つらい時代を前向きに生きた若者を描いた早船さん自身の強さ、真っすぐさを感じ取ってもらえたら」と期待している。

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開催概要

  • 会期:6月7日まで。月曜と26日は休館。
  • 料金:一般210円、学生100円。
  • 講演会:16日午後2時から、小説と西岸良平さんの漫画「三丁目の夕日」を比較して論じる講演会がある。先着200人。
  • 問い合わせ:さいたま文学館=電048(789)1515