約200年の歴史を持つ香川漆芸の技法を伝承し、後継者を育成する「香川県漆芸研究所」(高松市)は、9月から歴代の研究生が手がけた作品を、香川にゆかりのある企業や団体に無料で貸し出す。企業などの関心は高く、今年は過去最多の60点を用意。同研究所は「香川漆芸の魅力を多くの人に知ってもらいたい」とし、椀や箱、壺など色とりどりの作品の受け入れ先を募集している。
香川漆芸の三技法
香川漆芸は、彫刻刀や剣による彫りと色漆による加飾が特徴。漆を塗った表面に文様を彫り、色漆を埋め込む「蒟醤」、模様を色漆で描いた後、彫刻を加える「存清」、幾重にも塗り重ねた色漆を彫る「彫漆」の技法があり、「香川の三技法」と呼ばれる。
研究所と貸し出しの歴史
同研究所は1954年に設立され、10~30歳代の研究生が3年間で技法を習得。これまでに480人以上が修了し、漆芸作家などとして活躍している。研究生は3年間の集大成として「修了作品」1点を制作する。貸し出しは2016年から行われており、「空間を彩ってくれる」「作品が来客との話題作りにつながった」などの反響があった。応募増加傾向を受け、今回は昨年より9点多い60点を貸し出す。
出品作品の紹介
貸し出し対象は、1978年度から2025年度に修了した60人の作品。2024年度修了の嶋岡勇太さんの乾漆存清壺「刻下」や、昨年度制作の木村史乃さんの蒟醤オブジェ「朝未き」など、若手作家の力作も並ぶ。同研究所の担当者は「作品展を通じて香川漆芸の魅力、技術の細かさ、自由さを知ってもらい、貸し出しを通じて広めてもらえたら」と話す。
貸し出し条件と申し込み
貸し出しは1事業所につき3点まで。期間は9月15日から2027年5月14日。希望する作品(5点まで)などを申込書に記入し、7月5日までに同研究所に提出。問い合わせは同研究所(087・831・1814)。
作品展「漆研展 夏」も開催
県漆芸研究所は、企業などに貸し出す作品60点を集めた作品展「漆研展 夏」を県文化会館(高松市)1階の香川漆芸ホールで開いている。7月5日まで。作品展では、修了作品とは別に、人間国宝の磯井正美(1926~2023年)の「蒟醤彫漆潮騒箱」(1978年制作)と、音丸耕堂(1898~1997年)の「彫漆紫陽花香合」(1950年頃制作)も特別展示。午前9時~午後5時、会期中無休、観覧無料。



