口承文芸学者の小澤俊夫氏が逝去 96歳の生涯に幕
昔話研究の権威として知られる口承文芸学者で筑波大学名誉教授の小澤俊夫(おざわ・としお)氏が4月18日、老衰のため神奈川県川崎市内の施設で逝去されました。96歳のご生涯でした。中国生まれで、葬儀は近親者のみで執り行われる予定です。喪主は長男の淳(じゅん)氏が務められます。
グリム童話研究から日本の昔話分析まで
小澤氏はドイツのグリム童話を深く研究し、ヨーロッパで発展した口承文芸の理論体系を日本に初めて本格的に紹介した先駆者です。国内外に伝わる数多くの昔話を詳細に分析・比較し、その語りの構造と文化的意義を明らかにする研究を推進しました。
1992年からは「昔ばなし大学」を全国各地で開講し、一般市民に向けて昔話の魅力と重要性を伝える啓蒙活動を精力的に展開。1998年には川崎市に「小澤昔ばなし研究所」を設立し、研究と実践の拠点を確立しました。
季刊誌の刊行と児童文化への貢献
小澤氏は季刊誌「子どもと昔話」を長年にわたり刊行し続け、昔話研究の最新成果を広く発信しました。主な著書には「昔話の語法」などがあり、これらの著作は口承文芸研究の基本文献として高い評価を得ています。
2020年には第59回児童文化功労賞を受賞し、子どもの文化育成と昔話の継承に対する長年の功績が公式に認められました。その研究活動は学術的価値だけでなく、教育現場や地域文化の活性化にも大きく寄与しました。
芸術家一家の兄として
小澤氏は世界的に著名な指揮者の小澤征爾氏の実兄であり、ミュージシャンの小沢健二氏は次男にあたります。芸術的才能に恵まれた一家の中で、学問の道を究めた研究者として独自の足跡を残しました。
小澤俊夫氏の逝去は、日本の口承文芸研究と児童文化の発展に大きな損失をもたらしました。その功績は今後も多くの研究者や教育者に受け継がれていくことでしょう。



