巨人の指揮官として初勝利を挙げた橋上秀樹監督代行(60)は、ニコニコ顔でロッカールームから現れた。5月27日のソフトバンク戦を5対1で快勝し、その手には大事そうにウィニングボールが握られていた。
試合は1点を追う三回、打者一巡の攻撃で5点を奪って逆転。先発の戸郷が7回1失点の好投を見せ、チームの連敗を5で止めた。試合直後、報道陣に対応した橋上監督代行は「やっぱり、ホッとしました」と胸をなで下ろした。
勝ち投手の戸郷からは「代行1勝目ですね」と祝福されたが、ウィニングボールを手渡されることはなかった。その後、ロッカーに戸郷のサイン入り記念球が置かれていることに気付いたという。エースの粋な計らいに感謝し、うれしそうに帰路に就いた。
突然の監督代行就任
娘に対する暴行容疑で逮捕された阿部前監督が退任。シーズンの3分の2以上を残して、オフェンスチーフコーチから急きょチーム全体の責任を負う監督代行を任された橋上監督代行は、「頭が混乱して、冷静でもなかった」と打ち明ける。
暴力は決して許されないが、心境は複雑だ。東京・安田学園高の後輩でもある前監督に請われ、かつて3年間コーチを務めた巨人に2025年シーズンから復帰した経緯がある。「彼の心境を思うと、というのは非常にある」と率直に語る。
2年ぶりのリーグ制覇に向け、チーム作りを支え、ともに知恵を絞ってきた。「やりたかったことは理解しているので、ぶれないようにという思いはもちろんある」とした上で、「今まで見てきた人(コーチ陣)を尊重しながら、話を聞き入れながらやっていきたい」と思い描く。
野村克也監督の教えを胸に
チームのかじ取りでは、豊富な指導経験が生きるはずだ。ヤクルトなどで17年間の現役生活を終え、2005年からコーチや独立リーグの監督を務めてきた。今も指針になっているのは、楽天時代に仕えた野村克也監督の教えだ。
「野村さんの考えを思い起こせば、思い起こすほど、時代は変わったと思わざるを得ない」と言う。データ重視の傾向が強まっている現状も踏まえ、「戦術や戦略的なものなど、今の時代にマッチしていないのではないか」とした上で、「カスタマイズして使えるか、少しずつ自分の中で検証している」と明かす。
一方で、野村さんが示した心構えは、時が流れても変わらず大切だと考えている。それは「己を知る」ことだ。「自分が担う役割を考えた時、こういう駒として存在感を示していくべきだと、自分で見つけてほしい」。選手たちには自らを客観的に理解し、強みを磨いていく姿勢を求める。
じっくりと「橋上流」を浸透させ、厳しいペナントレースを戦い抜く。



