11日に開幕したサッカーワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会を共催するメキシコ政府は、軍や治安部隊など約10万人を動員し、「メキシコ史上最大規模」とされる安全対策を展開している。開幕試合が行われる首都メキシコ市では、地元自治体がさらに警察官約5万人を投入。会場周辺では10日、警官らが警戒に当たった。
警戒強化の背景
政府は試合が開催される国内3都市と、代表チームのベースキャンプ地を中心に警戒を強化。米メディアによると、米軍特殊部隊などが協力して、無人機(ドローン)による爆弾投下を想定した訓練も実施した。警戒の背景には麻薬組織の存在がある。
麻薬組織の脅威
開催都市の一つ、グアダラハラがある中部ハリスコ州では2月、軍が国内最大級の麻薬組織「ハリスコ新世代カルテル」の首領の拘束作戦を実行。首領が死亡したことを受け、組織側は各地で道路を封鎖し、車両に火を放つなどして混乱が生じた。試合開催を不安視する声も出る中、政府は翌月に安全対策を発表した。
今回の安全対策は、メキシコ政府がこれまでに実施した中で最大規模のものであり、軍や治安部隊のほか、警察官も多数動員されている。メキシコ市では約5万人の警察官が追加投入され、会場周辺では厳重な警戒が続けられている。また、米軍特殊部隊との連携により、ドローン攻撃を想定した訓練も行われ、テロや組織犯罪への備えを強化している。
メキシコ国内では、麻薬組織による暴力事件が後を絶たず、特にハリスコ新世代カルテルは強力な勢力を持つ。政府はW杯の安全を確保するため、こうした組織の動きを注視し、迅速な対応ができる体制を整えている。観客や関係者の安全を最優先に、大会期間中は警戒を緩めることなく、万全の対策を継続する方針だ。



