サッカーのワールドカップ北中米大会が6月11日に開幕する。米国、カナダ、メキシコの3カ国共催だが、試合会場の中心は米国だ。1994年大会以来、32年ぶりに米国で開催される意義と、史上最強とも評される日本代表の順位予想について、スポーツライターの木崎伸也氏にインタビューした。
実質的な米国大会、共催の背景
今大会はワールドカップ初の3カ国共催だが、全104試合の約8割が米国で行われるため、実質的には米国大会と言える。米国は2010年の2022年大会招致でカタールに敗れたが、当時からスタジアムなどのインフラは充実し、サッカービジネスの潜在能力は高く評価されていた。しかし、大国に対する反感を持つ国もあった。
2015年にFIFA理事らの汚職事件が発覚し、開催地決定方式が変更。投票権が20人余りの理事から全加盟国・地域に広がり、民主化された。米国は隣国カナダ、メキシコと連携して北中米の支持を固め、当選を勝ち取った。
共催のモデルケースとしての日韓大会
共催は2002年の日韓大会以来。日韓大会は政治的に対立する要素のある両国が協力して成功させたため、共催のモデルケースとされている。今回の3カ国も貿易面などで問題を抱えるが、政治とサッカーは切り離されており、大きな影響はないと見られる。
政治問題とサッカーの分離
米国が攻撃したイランも出場する。イランの1次リーグ3試合は米国内で組まれ、決勝トーナメント1回戦で米国と対戦する可能性もある。イラン代表のサポートスタッフが入国できないといった小さな問題は起こり得るが、大会が始まればサッカーが盛り上がり、政治的問題は覆い隠されるだろう。前回大会でも開催国カタールの人権問題が批判されたが、次第に忘れ去られた。
米国サッカーの発展とビジネス
米国は1994年の単独開催以来、世界経済の中心軸でありながらサッカーでは途上国という印象があった。しかし、サッカーの大半の資金は欧州に集中し、ビジネスは飽和状態にある。その点、米国はスポーツに費用を払う文化があり、市場開拓の余地が大きい。FIFAも米国進出に本腰を入れている。
94年大会を機に北米プロリーグMLSが創設され、現在はアルゼンチン代表のリオネル・メッシや元ドイツ代表のトーマス・ミュラーといったスター選手が活躍し、商業的成功を収めつつある。94年時点は畑を耕すような状況だったが、作物が実り、今大会は大きな農場を造って本格的に収穫する局面と言える。
出場枠拡大の影響
今大会から本大会の出場枠が32から48に拡大され、キュラソー、カボベルデ、ヨルダン、ウズベキスタンが初出場する。競技レベルの低下を心配する声もあるが、木崎氏は「ワールドカップは欧州と南米が中心だが、拡大により新興国の参加が増え、サッカーの裾野が広がる」と指摘する。一方で、予選の緊張感が薄れる懸念もあり、今後の課題となる。
日本代表の展望
史上最強とも言われる日本代表について、木崎氏は「グループリーグ突破は十分可能。その先ではベスト8以上も狙える」と期待を寄せる。ただし、出場枠拡大でレベルの低いチームが増えるため、油断は禁物だ。日本がどこまで通用するか、注目が集まる。



