いつ発生するか予測が難しい首都直下地震などの大地震に備え、視覚障害者を対象とした防災研修会が先月下旬、東京都世田谷区松原の区立保健医療福祉総合プラザ(うめとぴあ)で開催されました。この研修には、障害当事者13人を含む参加者が集まり、地震の揺れを再現する起震車の体験や、自動体外式除細動器(AED)の操作訓練などが行われました。
起震車で震度6弱の揺れを体験
研修では、震度6弱の揺れを発生させる起震車が用意され、参加者はテーブルの手すりをしっかりと握ったり、しゃがみ込んだりしながら、約20秒間の揺れを体験しました。視覚障害がある佐山壮さん(46)は、「事前に揺れが来ると分かっていたので、それほど怖くはなかった。しかし、もし1分や2分と揺れが長く続いたら、パニックに陥るかもしれない」と感想を述べました。
全盲の笠井喜代子さん(86)も落ち着いて体験しました。笠井さんは2011年3月の東日本大震災時、集会所にいて無事でしたが、1人暮らしの自宅に戻ると靴箱や大型の音響機器が倒れていたといい、「もし家にいたら大変だった」と振り返り、「夜中や早朝に地震が起きたら心配ですね」と語りました。
AED操作に初挑戦、戸惑いも
研修では、多くの参加者が初めてAEDに触れました。AEDには点字表示がなく、音声ガイドのみが頼りのため、操作に戸惑う人も見られました。主催した区視力障害者福祉協会理事長で全盲の大竹博さん(62)は、「人が倒れているのが分かれば、助けを呼ぶことはできる。私たちにもできることがある」と話し、障害者でも可能な応急手当の重要性を強調しました。
今回の研修には、東京消防庁や世田谷区、社会福祉協議会が協力しました。東京消防庁の担当者によると、東京で大地震が発生した場合の想定では、建物倒壊により約6千人が死亡し、そのうち障害者や高齢者が60%以上を占めるとされています。このようなデータからも、障害者への防災教育の重要性がうかがえます。
世田谷区の永池昌直危機管理監は、「災害時には一人で判断できない場面が多い。『視覚障害があります。避難を手伝ってください』と声に出して周囲に伝えてほしい」と呼びかけ、障害者自身が積極的に助けを求めることの大切さを訴えました。



