災害関連死認定の壁 弔慰金対象外の遺族も申請可能なのに「門前払い」の実態
災害関連死認定の壁 弔慰金対象外遺族も申請可能なのに

災害関連死認定の課題 弔慰金対象外の遺族も申請可能なのに「門前払い」の実態

最大震度7を2度観測した熊本地震では、犠牲者278人のうち、実に8割に上る223人が災害関連死に認定されています。しかし、この関連死を巡っては、申請が対象外とみなされて「門前払い」されたり、申請自体の負担が大きくて諦めたりした遺族も少なくありません。実際には、認定された数よりもさらに多くの関連死が存在すると見られています。

災害関連死とは何か

災害関連死とは、避難生活による体調悪化など、直接的な被害以外の要因で死亡したケースを指します。遺族が申請を行い、医師や弁護士などで構成される自治体の審査会が、災害と死亡との因果関係を詳細に調査します。認定されれば、市町村から最大500万円の弔慰金が支払われる仕組みです。重要な点として、申請期限は定められておらず、時間が経過しても申請が可能となっています。

弔慰金の受給対象と認定の矛盾

弔慰金の受給対象は、災害弔慰金支給法により「配偶者、子、父母、孫および祖父母ならびに兄弟姉妹」と明確に規定されています。しかし、内閣府は、おいやめいといった受給対象外の遺族からの申請であっても、自治体の判断によって関連死と認定できるとしています。ここに大きな矛盾が生じています。実際には、弔慰金を受給できるかどうかが、関連死認定の条件とみなされているケースが少なくないのです。

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熊本地震の具体的事例

熊本地震で被災し、熊本県益城町の叔父・吉永敏雄さん(当時86歳)を亡くした前田直美さん(77歳)は、2017年11月頃、県や町から「弔慰金を支給できず、関連死と認められない」と説明を受け、申請を断念せざるを得ませんでした。

2度目の震度7を観測した本震で、敏雄さんと妻・和子さん(当時81歳)は、倒壊した自宅の下敷きとなりました。和子さんは直接死で死亡しましたが、敏雄さんは約7時間後に救出され病院に搬送されました。しかし、体調は徐々に悪化し、2017年8月に慢性腎不全で亡くなりました。敏雄さんには子どもや両親、きょうだいがおらず、めいの前田さんらが看病にあたっていました。

前田さんは「お金がほしいわけではない。叔父が災害で亡くなったと認めてほしいだけ」と述べています。この言葉は、多くの遺族の心情を代弁するものであり、認定制度の本質的な目的が問われています。

制度の改善に向けた課題

現在の制度では、以下のような課題が指摘されています。

  • 自治体の運用のばらつき:内閣府の指針があっても、自治体によって認定基準が異なるケースがある。
  • 情報の不足:受給対象外の遺族でも申請可能であることが、十分に周知されていない。
  • 心理的負担:申請手続きが複雑で、遺族にとって大きな負担となることが多い。

災害関連死の認定は、単なる金銭的な補償ではなく、犠牲者の尊厳を守り、遺族の心の支えとなる重要なプロセスです。今後の災害対策において、より公平で透明性の高い制度の構築が急務となっています。

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