旧双葉町図書館と歴史民俗資料館が解体へ 震災と原発事故からの復興の新たな段階
福島県双葉町は、東日本大震災で被災した旧図書館と近接する歴史民俗資料館の解体を決定した。東京電力福島第1原発事故による避難指示が解除された後、町はこれらの施設の再利用を模索してきたが、被災状況が深刻であることから、維持は難しいと判断した。環境省が今後、建物の解体に着手する方針を示している。
解体前最後の見学会と蔵書の譲与
10日と11日の両日、旧図書館と歴史民俗資料館では、解体前最後の見学会が開催される。時間は両日とも午前10時から午後3時まで。町教育委員会は、図書館の蔵書のうち、歴史的な価値のある図書を除き、希望者に50冊を上限で譲り渡す。蔵書の譲与は、見学会開催中に限って受け付ける。
問い合わせは、町教委生涯学習課(電話0240・33・0206)へ。町教委は「ともに町の学びと記憶を支えてきた施設で、町民にとって思い出深い。多くの人に訪れてほしい」と呼びかけている。
旧図書館前のソメイヨシノも伐採 最後の花見とライトアップ
旧図書館前に植えられたソメイヨシノも、建物の解体に合わせて伐採される。長年にわたり町民に親しまれてきたが、老化とテング巣病などの影響で、倒木や枝が落ちる恐れがあるため、5本ある桜の木の一部を除いて撤去される。
町教委は「旧図書館前の桜は今回が最後の花見になるので、多くの人に訪れてほしい」と述べている。現在、ソメイヨシノは見頃を迎えており、8日夜には一夜限りのライトアップが行われる。このイベントは「サクラ・プログレス」と題し、南相馬市の「sou.sou.hikari」が企画した。
復興への歩みと跡地の将来計画
旧図書館の壁面には、避難指示解除後の2023年11月、伝統の「双葉ダルマ」を題材にしたアートが描かれた。壁画制作会社「OVER ALLs(オーバーオールズ)」(東京都)が手がけた作品で、ダルマが震災から七転び八起きして光輝く姿を表現し、復興へと歩み始めた町を彩ってきたが、その役目を終える。
町が策定したJR双葉駅東地区まちづくり基本構想では、旧図書館と歴史民俗資料館の跡地に、運動広場と新しい公共施設が整備される計画が示されている。具体的な内容について、町は検討を進めており、復興の新たな一歩として期待が寄せられている。
この解体は、震災と原発事故からの長い避難生活を経て、双葉町が復興に向けて前進する象徴的な出来事となっている。町民にとっては、思い出の施設との別れでありながら、新たなまちづくりへの希望も感じさせる瞬間だ。



