津波浸水をリアルタイム予測する新システム、高知県で運用開始 初動対応を先取り
津波浸水リアルタイム予測システム、高知県で運用開始

津波浸水をリアルタイムで予測する革新的システムが高知県で運用開始

2011年の東日本大震災では、マグニチュード9.0の巨大地震により東北地方を中心に大津波が発生しました。気象庁は当初、地震の規模を過小評価し、広範囲で高さ10メートル以上という津波予測を示すまでに約45分を要しました。この教訓から15年が経過し、より迅速かつ詳細な予測を実現するための研究開発や観測網の整備が進められています。

スーパーコンピューターが浸水被害を瞬時に計算

東北大学災害科学国際研究所の越村俊一教授(津波工学)は、スーパーコンピューターを活用して津波の浸水被害をリアルタイムで予測し、被災者の救助活動などに役立てるシステムを開発しました。従来の気象庁の津波警報では、地震発生から2、3分程度で沿岸への到達時間や高さの予測が発表されますが、具体的な浸水エリアまでは把握できませんでした。また、自治体が作成するハザードマップも多様なケースを想定しきれていない課題がありました。

越村教授のシステムでは、地震の規模や発生場所、周辺の地形などの情報を基に、東北大学のスーパーコンピューター「AOBA」が10メートル四方ごとに津波による浸水深さを予測します。さらに、建物の被害や浸水エリアの人口も推定することが可能です。これにより、災害発生時の詳細な状況を迅速に把握できるようになりました。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

高知県で民間初の津波予報サービスとして運用

越村教授が最高技術責任者を務めるベンチャー企業「RTi-cast」(仙台市)は、民間として初めて津波予報業務の許可を取得し、2024年から高知県および同県内19市町の自治体向けにサービスを提供しています。現在のシステムでは計算結果が出るまでに約20分かかりますが、越村教授は約2年以内に5分まで短縮することを目指しています。

高知県では南海トラフ地震が発生した場合、場所によっては5分ほどで津波が到達する可能性があります。そのため、県は大きな地震があった際には気象庁の津波警報を待たずに避難するよう呼びかけています。新たなシステムは、発災から約1時間後に開催される災害対策本部会議での利用を想定し、2019年から実証実験が進められてきました。

高知県危機管理・防災課の窪添秀行氏は、「ライブカメラやヘリコプターの映像情報を待たずに、どれくらいの規模で浸水が広がるのか、6時間後までの予測を確認できます。これにより、先取りして初動対応を進めることが可能になります」と利点を強調しています。

システムの導入コストと今後の展望

越村教授によると、システムの初期費用は1500万円、年間の運用コストは500万円です。この技術には東南アジアや南米の関係者からも関心が寄せられており、問い合わせが相次いでいるとのことです。

さらに、予測の精度向上に向けた取り組みも進められています。例えば、国勢調査による人口データではなく、携帯電話の位置情報を用いた人流データを活用することで、発災時にリアルタイムで浸水エリアにいる人口を計算できるようにする研究が行われています。これにより、より実際の状況に即した予測が可能になることが期待されています。

このシステムは、従来の津波警報ではカバーしきれなかった詳細な情報を提供し、自治体の災害対応を強化する画期的なツールとして注目を集めています。今後も技術の進化とともに、より迅速かつ正確な予測が実現される見込みです。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ