新聞を家族の会話の中心に据える意義
毎日多くの記事が掲載される新聞は、春休みなどの長期休暇を利用して、親子で一緒に目を通す絶好の機会です。元教師で日本新聞協会NIEコーディネーターを務める関口修司氏は、「新聞を話題にして家族の会話をしてほしい」と強く勧めています。関心のある記事や写真について親子で意見を交わすことで、会話が盛り上がり、子どもの学びを深めることができると指摘します。
新聞が子どもの興味を引き出すツールに
東京都で教員を経験した関口氏は、校長を務めていた学校で、朝の15分間新聞を読む取り組みを実施していました。新聞は基本的に大人向けのメディアですが、子どもたちは読めない漢字があっても、写真や見出しを手がかりに自分で興味のある記事を見つけ、友達と話し合うことを楽しんでいたそうです。
関口氏は、「子どもたちは一つの話題に興味を持つと、新聞だけでなくテレビなど他のメディアと比較して、さらに調べたくなる傾向があります」と説明します。新聞に日常的に触れることで、様々な事象の背景となる知識を少しずつ蓄積でき、授業での理解力向上にもつながると期待されています。記事との出会いを通じて、問題意識を養うことも可能です。
家族での新聞活用が育む広い視野
関口氏が特に推奨するのは、家族で新聞を読む習慣です。「一つの記事を家族で話題にし、様々な意見を話し合うことが非常に重要です。新聞を中心に家族の会話が生まれるのが理想ですね。最初は『面白い写真があったよ』など、保護者が子どもをリードしながら始めても良いでしょう」とアドバイスします。
新聞の特徴である「一覧性」も、関口氏が重視するポイントです。紙面を広げると多様な話題が目に入り、子どもたちが自然に世界と地域のつながりを学べると言います。「例えば福島県の子どもたちが地域のことを調べる際、新聞を開けば、その事柄が日本国内や世界とどう関わっているかが一目で分かります」と具体例を挙げます。
正解のない社会で必要な批判的思考
関口氏は、自分が住む地域の問題を解決するためには広い視野を持つことが不可欠だと強調します。「『地域に根ざす』とは、地域のことだけを考えるのではなく、地域を軸にしながら世界のことを考える子どもたちを育てることです」と語ります。
そのためには、「小学校低学年の頃から世界情勢のニュースに触れ、完全に理解できなくても友達と話題にすることが大切」だと述べます。「少し生意気な子どもたちが、中高生や大人になった時に真の力を発揮できると期待しています。新聞は、正解のない世の中や多様な考え方があることを教えてくれます。『これ本当?』『怪しいんじゃない?調べてみよう』と思える、吟味思考や批判的思考を育むツールとして新聞を活用したいですね」と結びます。
家族の絆を深める新聞の意外な効果
関口氏からのメッセージとして、「ぜひ新聞を真ん中にして家族で話し合ってみてください。きっと盛り上がりますよ。お父さんやお母さんが主役になれる時間かもしれません。『こんなこと知ってたの!』と家族を見直す機会にもなり、子どもたちの新たな一面を発見できるかもしれません」と呼びかけています。
関口修司氏のプロフィール: 東京都出身。都内公立小学校教員、群馬大学教育学部非常勤講師などを経て、都内公立小3校で校長を務める。定年退職後、2016年から日本新聞協会NIEコーディネーターとして活動中。
NIE(Newspaper in Education)とは: 学校などで新聞を教材として活用する活動。教育界と新聞界が協力し、社会性豊かな人材の育成を目的に全国で展開されています。



