教育虐待「あなたのため」が刃に変わる 子どもと大人の悲痛な体験談
教育虐待「あなたのため」が刃に 子どもと大人の体験談

東京新聞が運営する子育てウェブメディア「東京すくすく」では、誰でも記事にコメントを投稿できる。特に「教育虐待」をテーマにした記事には、10代の子どもたちから多くの悲痛な声が寄せられている。300を超えるコメントの一部を紹介する。あなたの身の回りで、思い当たることはないだろうか。体験談を聞かせてほしい。

教育虐待とは何か

教育虐待とは、「良い学校に入れたい」「成績を上げたい」という親の思いが過剰になり、子どもに限度を超えた勉強を強いることだ。2019年11月18日に公開された教育ジャーナリスト・おおたとしまさ氏へのインタビュー記事には、多くのコメントが集まった。

「あなたのため」という呪いの言葉

なぜ親は子どもに過度に求めてしまうのか。おおた氏は、親自身が「これが正解」という教育を受けてきたため、子育てにも正解があると思い込み、情報を集めて子どもをその正解に合わせようとすると指摘する。また、親が幼い頃に「あなたはダメだ」と言われ続けて育ち、自己否定の癖があると、それを子どもに投影してしまう場合もあるという。「あなたのため」「いい教育を受けさせたい」「選択肢を増やしてあげたい」という言葉を日常的に使っていないか、注意が必要だ。

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偏差値だけが教育の質ではない

「いい教育」とは何か。偏差値や学校の違いだけが教育の質を決めるわけではない。親の窮屈な人生観が子どもを追い詰めることを自覚すべきだ。「選択肢を広げるために東大に行かせたい」と言う親もいるが、結局は限られた範囲で将来を決めつけてしまう場合が多い。

盾となり安全地帯を作る大切さ

配偶者が教育虐待をしている場合、目の前で行われていたら「それは傷つけすぎている」「もう止めて」と言って、子どもの前に立ち、盾になるべきだ。深刻な場合は児童相談所などの専門機関に相談することも必要。少なくとも子どもにとっての安全地帯を作り、つらそうにしている時は一緒にいて話を聞いたり、楽しい時間を過ごしたりして様子を見ることが大切だ。

寄せられた体験談の一部

中学2年生の悲痛な声

「中2です。毎日つらいです。勉強が怖くてなかなか進むことができません。高校に合格できなかったから出ていってもらうと言われました。私には居場所がありません。もうどこにもありません。私はいらない子供なのかな。もういなくなった方がいいかも。」(10代女性)

暴言と暴力にさらされる日常

「小学5年です。僕は、勉強でわからないところがあったら先生に教えてもらってと言われて、終わった後に必ず『聞いた?』と聞いてきます。聞かなかったら叩かれるので、聞いたと言ってしまいました。自分がいい大学行っているからって、上から目線で暴言を吐いたり、定規で叩いてきます。『生まれてこなければいいのに』などと言ってきます。大好きだった野球も『お前には絶対できない』とレッテルを貼られます。一回死にたいと思って、飛び降りようとしたこともあります。大学を卒業したら、縁を切りたいと思います。」(10代男性)

絶縁を選んだ40代の振り返り

「小学生のころ、無理やり進学塾に通わされました。毎週のテストで成績が落ちたり、勉強しないと度を超える暴言を吐かれたり。友達と比較してできないところをあげつらわれ、ひどいときは悪魔、死ねなどと言われました。志望校には不合格。公立中に進学後も勉強、勉強と接してきました。大人になっても干渉は続き、35歳の頃に絶縁しました。」(40代男性)

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トラウマに苦しむ親子の断絶

「中学受験が終わったら勉強しなくていいといわれたから頑張ったのに、入ってからも怒られます。過去に怒られたトラウマでうまく勉強がはかどらず、もたもたしていると怒られます。勉強していても少し遊んだらすぐ怒られて耐えられません。いなくなろうかなー。」(10代男性)

夫が子どもに…離婚したいくらい

「小学4年生の塾に通う息子がいます。塾の課題が終わるまで夫は子どもを寝かせません。夫は夜8時ぐらいから寝てしまい夜10時ごろに起きてきて、子どもに夜10時から勉強させます。自分は寝たから元気ですが、子どもは寝ていないので眠くなります。それを怒りながら夜中の1時過ぎまで勉強させます。ひどくないですか?教育虐待ですよね。離婚したいくらいです。」(40代女性)

「自分が悪い」と思わないように

「自分の母は、ドリルを私に押し付けたり、一問でも間違えたら叩いたり蹴ってきます。痛くて泣いているのに、『泣きたいのはこっちだよ』と言います。一番びっくりした言葉は、テストで良い点数を取れなかったときに『産まれてこなければ良かった』と言われたことです。悪いのは自分だと我慢して学校に行っていましたが、心の傷が重くなって苦しかったです。学校に相談場所があって、話した後にはホッとしました。今もそういうことが起きていますが、いつまでも『自分が悪いんだ』と思わないようにしています。」(10代女性)

一緒に考えたい

これらの悲痛な声は昨年の秋以降に届いたもので、今もコメントは続いている。昨年末には「私たちの産後クライシス」を連載し、妊娠・出産を個人の責任とされている孤独を抱える女性たちの声を紹介した。子育ての責任は家庭に重くのしかかり、根強い学歴社会や不透明な社会、変わらない教育システム、募る親の不安などが重なり、教育虐待につながっているのではないか。人は何のために学ぶのか。まずは各家庭で何が起こっているのか、何がそうさせているのかを一緒に考えたい。あなたの体験を聞かせてほしい。