文部科学省は6月1日、人工知能(AI)を活用した採点システムを全国の公立小中学校に導入する方針を明らかにした。教員の長時間労働が社会問題となる中、採点業務の効率化により負担軽減を図る。2027年度までに全公立小中学校への導入を目指し、2025年度から段階的に始める。
システムの概要とメリット
このシステムは、児童生徒がタブレット端末などで解答したテストを、AIが自動で採点する。記述式問題にも対応し、学習指導要領に基づいた採点基準で評価する。教員は結果を確認するだけで済むため、採点時間が大幅に短縮される。また、個々の生徒の苦手分野を分析し、個別指導に役立てることも可能だ。
導入の背景
教員の長時間労働は深刻で、2019年の調査では、小中学校の教員の約6割が週60時間以上勤務している。政府は働き方改革の一環として、ICT活用を推進してきた。今回のAI採点システム導入もその一環で、教員が児童生徒と向き合う時間を増やす狙いがある。
課題と今後の展望
導入にはコストやセキュリティ面の課題がある。文部科学省は、2025年度予算案にシステム開発費や端末整備費を計上する方針。また、個人情報保護の観点から、データ管理の徹底が求められる。今後は、全国の自治体と連携し、実証実験を経て本格導入を進める。
教育現場からは「採点業務の負担が減り、授業準備や生徒指導に時間を充てられる」と期待の声が上がる一方、「AIの採点精度や公平性に懸念がある」との指摘もある。文部科学省は、システムの改善を継続的に行い、教員の意見も反映させていく方針だ。



