岩国市が錦川清流線の全線存続を決定、「みなし上下分離」方式で新たな運営体制へ
山口県岩国市は、赤字経営が続く第3セクター・錦川鉄道の錦川清流線について、全線での存続を正式に発表しました。市はこれまで、現状維持やバス転換など複数の案を検討してきましたが、最終的に「みなし上下分離」方式を採用する方針を固めました。この決定により、市の財政負担を最小限に抑えつつ、鉄道の利便性を維持することが期待されています。
錦川清流線の現状と課題
錦川清流線は、岩国市中心部の川西駅と市北部の錦町駅を結ぶ全長32.7キロの路線です。近年、乗客数の減少が続き、経営状況が厳しくなっており、市は毎年1億円を超える赤字を補填してきました。この状況を改善するため、市は存廃を含めた包括的な検討を進めてきました。
路線の存続をめぐっては、現状維持、一部または全線のバス転換、そして公有民営上下分離方式など、複数の選択肢が検討されました。しかし、市はこれらの案と比較し、「みなし上下分離」方式が最も効果的であると判断しました。
「みなし上下分離」方式の詳細と利点
「みなし上下分離」方式では、錦川鉄道が線路などの鉄道施設を引き続き保有し、運行業務を担当します。一方、岩国市は施設の維持管理や投資に必要な費用を負担する形となります。この新体制は、2026年4月から移行される予定です。
この方式を採用する主な利点として、以下の点が挙げられています:
- 市の財政負担の軽減:有利な条件の地方債を充当できるため、市の実質的な負担額を最小限に抑えることが可能です。
- 大量輸送性の維持:バス転換案と比較して、鉄道ならではの大量輸送能力を保持できます。
- 定時性の確保:鉄道の運行は天候や交通状況に左右されにくく、定時性が高いというメリットがあります。
市の関係者は、「この決定により、地域住民の移動手段を確保しつつ、持続可能な交通システムを構築したい」とコメントしています。また、錦川清流線は観光資源としても重要な役割を果たしており、存続が地域経済への波及効果も期待されています。
今後の展望と課題
岩国市は、新方式の導入を通じて、錦川清流線の経営改善を図るとともに、利用者へのサービス向上にも取り組む方針です。具体的には、運行ダイヤの見直しや駅周辺の整備などを検討しており、乗客数の回復を目指します。
一方で、長期的な財政計画や利用者ニーズの変化に対応するため、定期的な評価と見直しが必要とされています。市は今後も関係機関と連携し、鉄道の持続可能性を高めるための施策を継続していく見込みです。
この決定は、地方交通網の維持に悩む他の自治体にも参考事例として注目される可能性があります。岩国市の取り組みが、全国の鉄道存続問題に新たな解決策を示すことになるかもしれません。



