天竜浜名湖鉄道、エンジンオイル枯渇で運行危機 原油供給不安が地域交通に直撃
天竜浜名湖鉄道、オイル枯渇で運行減の危機 原油供給不安が直撃

天竜浜名湖鉄道、エンジンオイル枯渇で運行危機 原油供給不安が地域交通に直撃

イラン情勢に伴う原油の供給不安の波が、静岡県の地域鉄道に深刻な影響を及ぼしている。掛川市と湖西市を結ぶ非電化路線の天竜浜名湖鉄道では、ディーゼル車両の維持に不可欠なエンジンオイルが底をつきかねない状況に陥っており、5月中旬以降に運行本数を減らさざるを得ない可能性が高まっている。

残りはドラム缶半分、わずか2両分のオイル

21日、浜松市天竜区の天竜二俣駅にある倉庫では、車両整備の担当者が最後の1本のドラム缶を確認していた。中に残っているエンジンオイルは缶の半分にあたる約100リットル。1両のオイル交換には50リットルが必要なため、残りはわずか2両分に過ぎない。

「このままだと5月中旬には交換できなくなる」と担当者は窮状を訴える。同社が所有する15両すべてがディーゼルエンジンを搭載しており、通常は45日ごとの定期的なオイル交換が欠かせない。しかし、今月に入り仕入れ先への発注が不可能となり、注文を受け付けてもらっているものの納入時期の見通しは全く立っていない。

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新型車両のデビュー直後、整備のジレンマ

天竜浜名湖鉄道では今年3月に新型車両「THG100形」がデビューしたばかり。渥美知樹車両区長は「新車最初のオイル交換は遅らせずにやりたい」と話すが、現実は厳しい。他の車両については、交換頻度を45日ごとから90日ごとに延ばして凌いでいる状況だ。

「これ以上はエンジンの寿命を縮めてしまう。これまで大切に整備してきたのに、こんなところでつまずくとは」と渥美区長は声を落とす。燃料の軽油価格も高止まりが続き、最近の調達価格は前年平均より6~7割ほど高いというダブルパンチとなっている。

運行削減の現実味、地域交通の使命との葛藤

松井宜正社長は「極力避けたい」と前置きしつつも、「このままでは一部列車を運休せざるを得なくなる」と危機感を強めている。乗客が激減した新型コロナウイルス禍でさえ、鉄道事業者の使命として1時間に少なくとも1本の運行は維持してきたが、今回はそれすら死守できるか分からない状況だ。

本数削減ダイヤの想定を始めた別の幹部は「どの列車を運休させても困る人がいる」と、ダイヤグラムを広げながら頭を抱える。地域住民の生活に欠かせない「足」をどう維持するか、深刻なジレンマに直面している。

近隣鉄道にも波及、大井川鉄道SLも潤滑油不安定

供給不安の波は県内の他の鉄道事業者にも及んでいる。大井川鉄道では井川線のディーゼル機関車の運行には今のところ支障は出ていないものの、観光の目玉となっている大井川本線の蒸気機関車(SL)に使う潤滑油の供給がやや不安定になっているという。

広報担当者は「先々の影響は気になるが、すぐになくなる状況ではない。5月の連休は予定通り運行できるので、ほっとしている」と話しているが、先行きへの懸念は拭いきれない。

国への要望、地域公共交通の存続を

松井社長は「何とか好転する可能性を信じたい」と祈りつつも、「悩ましいことばかり。ローカル線とはいえ公共交通であり、オイルを優先的に融通することを考えてほしい」と国に強く要望したい意向を示している。

原油供給不安が直接的に地域交通の存続を脅かす事態に発展する中、非電化路線を支えるインフラ整備と資源確保の重要性が改めて浮き彫りとなっている。

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