読売新聞は九州・山口・沖縄の主要50社を対象に、2027年春入社の新卒採用に関するアンケートを実施し、その結果をまとめた。採用人数については「前年並み」と回答した企業が48%と最も多く、昨年の規模を維持する企業が多数を占め、学生に有利な売り手市場が継続している。しかし、「増やす」と回答した企業は昨年から12ポイント減少の18%、「減らす」も18%に達し、採用を抑制する動きも顕在化している。
採用計画の現状
「前年並み」の割合は4ポイント増加した。これは出店加速や新規事業への進出を見越して、昨年まで採用数を増やしてきた企業が多いためだ。例えば、515人の採用を目指すコスモス薬品は「新規出店を継続するため、引き続き積極採用を続ける」と回答。コロナ禍後に採用を拡大してきた総合メディカルも、昨年と同規模の約280人の採用を計画し、「採用方針に変わりはない」としている。
一方、「増やす」と回答した企業の割合は、昨年まで4年連続で30%以上だったが、18%に低下。20%を下回るのは、新型コロナウイルスの影響があった2021年春入社以来、6年ぶりとなる。
大幅増の計画も
そうした中で、大幅な採用増を計画する企業もある。日産自動車九州は前年実績の42人に対し、約6倍の244人を計画。同社は生産終了予定の日産自動車追浜工場(神奈川県)からの生産移管により、2027年度以降に大幅な増産を計画しており、人員確保が最大の課題となっている。
また、半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場を運営する生産子会社JASMも、2026年実績の105人から採用数を増やす方針。第2工場を建設中で、「事業拡大のため」と説明している。
抑制の動き
一方、「減らす」と回答した企業は前年から6ポイント増加し、この5年で最も多かった。九州電力は前年実績から2割減の255人、ゼンリンも2割程度減らす方針だ。「減らす」が増えた背景には、この数年の積極採用で一定規模の人材を確保できたことがあるとみられる。鹿児島銀行は2割超少ない110人を計画し、「初任給改善や賃上げで離職率が下がり、従業員数を維持できている」と説明。近年の待遇改善が人材確保に寄与した結果だとしている。
待遇改善の進展
アンケートでは、各企業が人員を確保するため賃上げに積極的に取り組んでいることも明らかになった。初任給は2023年度以降、50社の大半が一度は引き上げており、2023~2026年度に4年連続で引き上げた企業は23社に上る。すでに2027年度の引き上げを計画している企業も20社あった。



