福岡県内で昨年発生した特殊詐欺(ニセ電話詐欺)による被害額が約135億1000万円に上り、過去最悪を記録したことが、県警のまとめで明らかになった。前年から42億3000万円の増加で、被害は深刻化の一途をたどっている。特に北九州市小倉南区の被害が際立っており、県警は国際電話の着信ブロックを呼びかけるなど、被害ゼロを目指した対策に乗り出している。
合同対策会議で連携強化
北九州市と県警は5月中旬、市役所で合同対策会議を開催。武内和久市長や警察幹部、各区長らが出席し、「ストップ。詐欺被害」のスローガンのもと、被害防止へ全力を挙げることを確認した。谷山浩一郎市警察部長は「ニセ電話詐欺は深刻な社会問題。私利私欲で罪なき人を騙す者には必ず代償を払わせる」と強い決意を示した。武内市長も「市役所と県警が強固に連携し、不退転の決意で臨む」と述べた。
小倉南区がワースト、署長が危機感
小倉南区は昨年の被害額が14億3000万円で、県内の警察署管轄区域で最多。今年も3月までに3億2000万円の被害が確認されている。小倉南警察署の久松清一署長は「危機的な状況だ」と警戒を強める。同区は北九州市内有数の人口を抱えるベッドタウンで、幅広い年代が生活しているため、様々な手口の標的になりやすいという。同署生活安全課の後藤智江課長は「多様な世代がいることが被害拡大の一因」と分析する。
手口としては、親族を装う「オレオレ詐欺」やSNSの偽広告から誘導する「SNS型投資詐欺」に加え、近年は警察官をかたる「ニセ警察詐欺」が増加。逮捕状を偽造するなど巧妙化が進んでおり、後藤課長は「警察が逮捕状をレターパックで送ったり、ウェブ画面で見せたりすることは絶対にない。不審に思ったらすぐに110番してほしい」と注意を呼びかけている。
緊急集会で市民に注意喚起
小倉南区では5月下旬、区役所と小倉南署主催の緊急集会が開かれ、約400人の市民が参加。参加者は「特殊詐欺ブロック」と書かれた紙を手に、署員による手口解説に熱心に耳を傾けた。特殊詐欺の電話の約6割は国際電話とされ、県警は国際電話の着信休止手続きを推奨。会場には手続きを支援するブースも設置され、多くの人が利用した。
着信休止手続きは固定電話と光電話が対象で、国際電話不取扱受付センターのホームページまたは電話(0120-210-364)から申し込める。県警は「被害に遭わないためには、まず電話に出ないことが重要。国際電話が不要な方はぜひ手続きを」と訴えている。



