沖縄・やんばるでニホンジカ初確認、人為的持ち込みか…世界遺産の生態系に危機
沖縄・やんばるでニホンジカ初確認、世界遺産に影響懸念

沖縄・やんばるでニホンジカ初確認、人為的持ち込みの可能性浮上

沖縄島北部のやんばる地域において、同島には本来生息していないシカが初めて確認されました。神戸女学院大学などの研究チームによる調査で、雄のニホンジカであることが判明し、人為的に持ち込まれた可能性が高いと指摘されています。この発見は、世界自然遺産に登録されているやんばるの生態系への影響を懸念させるものとして注目を集めています。6日には国際学術誌に論文が掲載される予定です。

DNA分析でルーツを解明、宮城県の個体群に近縁

研究チームによると、2024年10月に沖縄県国頭村でシカ1頭が目撃されました。3歳以上の成獣とみられ、近くで採取されたフンのDNA分析を実施した結果、雄のニホンジカであることが確定しました。さらに、宮城県石巻市の金華山に生息する個体群に近いタイプであることも明らかになりました。金華山のシカは1920年代から1970年代にかけて、地域振興などを目的に全国の神社や動物園に導入された歴史があり、国頭村にもかつてニホンジカの飼育施設が存在したとされています。

一方、沖縄県の慶良間諸島には、17世紀頃に九州から持ち込まれたケラマジカが生息していますが、今回確認されたシカのDNAとは遺伝的に大きく異なっていました。このことから、やんばるのシカは別の経路で人為的に持ち込まれた可能性が強まっています。

目撃情報相次ぎ、捕獲検討へ

2024年11月には、琉球大学大学院生の丸田裕介さんが国頭村で雄とみられるシカ1頭の撮影に成功しました。村によれば、昨年4月までにシカの目撃情報が計16件寄せられており、車で接近しても警戒しない様子が観察されたといいます。村は鳥獣保護管理法に基づくシカの捕獲許可を得ており、今後捕獲を検討していく方針です。

世界遺産の生態系に深刻なリスク

やんばる地域には、絶滅危惧種のヤンバルクイナをはじめとする多くの動植物の固有種が生息しており、その生態系は極めて貴重です。神戸女学院大学の高木俊人専任講師は、「人為的に持ち込まれたシカによって、固有の植物が食い荒らされたり、他の動物に感染症が広がったりする恐れがある」と警告しています。研究チームは、生態系への影響を継続的に調査していくことを表明しました。

沖縄大学の山田文雄客員教授は、「シカのルーツを科学的に証明した重要な研究成果と言える。雌も生息していれば、繁殖して甚大な被害が出る可能性があり、早急に対策が必要だ」と述べ、迅速な対応の重要性を強調しています。この事態は、自然保護と外来種管理の課題を浮き彫りにしています。