最近の物価上昇に、家計のやりくりに苦心する方も多いのではないでしょうか。日本では、高度成長期や石油危機の際にも物価が急騰し、読売新聞朝刊の投書欄「気流」にも多くの嘆きが寄せられました。今回は、記者の心に刺さった「ササる投書」から、過去の物価高の実態を振り返ります。
内職でも月収わずか…主婦の切実な叫び
1974年、埼玉県の30歳主婦は、3年前にローンでマイホームを購入したものの、生活はギリギリ。内職を試みるも、人形作りは接着剤が子供に悪影響、トランジスター組み立ては仕事が不安定、ヘッドホン半田付けも材料不足で1時間100円の安さ。事務経験や編み物の資格があっても、幼児を抱えて勤めに出られず、「少しは家計の足しになる内職はないものか」と嘆いています。
老後の不安、年金だけでは焼け石に水
1968年、埼玉県の56歳療養者は、15年かけて貯めた蓄えがわずか3年で消えると不安を吐露。「核家族化やマイホーム志向で家族生活は揺れ動き、老人ホームや生活保護だけでは解決できない。急変する世の中でおろおろする老人を守る対策はどうなっているのか」と訴えています。
86歳の傘直し老人、胸を打つ現実
1974年、千葉県の24歳主婦は、訪問してきた86歳の傘直し老人に衝撃を受けました。優待乗車証を見せた老人は「家族はいるが物価が上がって楽じゃない。国から年3回1万1000円ずつもらっているが足りない」と寂しげに笑い、丁寧に修理して深々と頭を下げた姿に、主婦は「86歳で働くなんて考えたこともなく、胸が痛んだ」と綴っています。
代議士にも生活の苦しみを味わわせたい
1973年、北海道の41歳主婦は、醤油の値上げに怒りをあらわに。「原料高騰で味噌や豆腐、納豆まで影響が出そう。醤油は塩や味噌と共に欠かせない調味料。台所は火の車だ。代議士先生を安サラリー家庭に下宿させ、実際の生活を共にさせたい」と皮肉を込めて提案しています。
100円亭主はかわいそう? 夫の小遣いの効用
1971年、東京都の27歳主婦は、団地新聞の家計簿調査で「夫の小遣い」が月3000~5000円と知り、物価高の中でも「100円亭主」が存在する現状を指摘。しかし、夫には分相応のゆとりあるポケットマネーが必要だと主張。「男には7人の敵がいる。小遣い不足で別収入やギャンブルに走るより、奥様は必要最小限の『男の懐』を心得るべき」と説いています。
担当記者より
記者は「就職後ほとんどをデフレ時代に生き、最近の物価上昇に驚きと不安を感じる。物価と賃金の好循環に期待しつつ、どんな状況でも生き抜くバイタリティーを身につけねば」と締めくくっています。



