「広い=幸せ」はもう古い?狭小アパートが人気、国が最低面積を撤廃
狭小アパート人気、国が最低面積撤廃 「広い=幸せ」は古い?

東京都心で暮らす若者の間で、コンパクトな「狭小アパート」が選ばれている。背景には、家賃の高騰やライフスタイルの多様化がある。こうした潮流のなか、国の住宅政策の基本となる計画から、半世紀にわたり「必要不可欠」としてきた最低限の広さの水準が削除された。いまや、広さで住まいのQOL(生活の質)は測れないのか――。

浴槽なしでも人気のワンルーム

東京都文京区。JR駒込駅から歩いて10分ほど、かつて2階建ての戸建てがあった14.8坪の土地に、3階建て6部屋のアパートがある。3階のワンルームは14.73平方メートル。直近の居住者が2024年に契約したときは家賃6万5千円だったという。キッチンにガスはなく、コンセントにつないで使うIHコンロが備え付け。浴槽の無いシャワー室は洗面台と一体で、トイレとドアを隔てて並ぶ。

ただ、「昔ながらのアパート」とは違う。2020年11月に完成した築浅で、浴室乾燥機やオートロックも完備する。大きな窓から差し込む光、白を基調としたタイル調の壁紙が部屋を明るくし、数字ほどの狭さは感じさせない。

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狭小住宅専門家が手がける物件

手がけたのは、「狭小住宅の専門家」をうたう建築・不動産会社「BLISS」。2003年に戸建ての狭小住宅からはじめ、10年ほど前から23区を中心にアパートも展開する。入居者は上京して初めての住まいを探す学生や社会人が多いという。職場や学校からの近さ、24時間営業のコンビニやコインランドリーが徒歩圏内にある利便性が決め手になるそうだ。

需要は堅調、空室はすぐ埋まる

おおむね更新期となる2年ほどで、収入アップや結婚などの理由で退去する。空室が出れば、あっという間に次の借り主が決まるという。需要は堅調で、「狭ければ狭いほど収益」というビジネスモデルが成立している。

コロナ禍での変化

ただ、コロナ禍には異変もあった。在宅時間が長くなると、隣室の音が気になるなど、狭さによるストレスを感じる入居者も増えた。しかし、全体として需要は衰えず、むしろ家賃の安さや立地の良さが再評価された。

国の住宅政策の転換

こうした動きを受け、国土交通省は2024年に策定した「住生活基本計画」から、従来の最低居住面積水準(単身者で25平方メートル)を削除した。これは1970年代から続いた基準で、今回の見直しは住宅の多様化に対応するためとされる。

専門家は「広さだけでなく、立地や設備、共用スペースの充実など、住まいの価値は多様化している。若者の価値観の変化を反映した政策転換と言える」と指摘する。

一方で、あまりに狭い住まいが健康や生活に与える影響を懸念する声もある。今後は、質の高い狭小住宅の普及と、適切な情報提供が求められる。

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